歯周病と喫煙

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 抗体減少し免疫機能低下

 喫煙は体に悪い影響を与えることは周知の事実です。喫煙することによってリスクが高まる疾患を喫煙関連疾患といいます。肺がんなどの呼吸器疾患や心臓病などの循環器疾患などが代表的ですが、歯周病も喫煙関連疾患の中の一つであることはあまり知られていないかもしれません。今回はその関連について述べたいと思います。

 歯周病とは、歯と歯肉にたまったプラーク(歯垢=しこう)の中の歯周病菌が歯の周りの部分を壊していく病気です。歯周病は、歯周病菌により歯肉に炎症が起こることから始まります。そして、歯と歯肉の間の溝が深くなって歯周ポケットとなり、歯肉から歯槽骨(歯を支えている骨)へと破壊が進み、放置すると歯がグラグラになり、抜けてしまう病気です。40歳以上では、抜歯の原因の約50〜60%は歯周病によるものといわれています。

 喫煙の害を引き起こす物質には、ニコチン、アクロレイン、シアン化合物、タール、一酸化炭素などがあります。喫煙によりIgA(免疫グロブリン)などの唾液(だえき)中の抗体が少なくなり、好中球やリンパ球などの免疫細胞の機能が阻害されて、免疫機能の低下が起こり歯周病を進行させます。また、歯周組織(歯肉や歯周骨など歯の周囲組織)の繊維芽細胞や上皮細胞の機能障害を起こし創傷治癒が抑制され、いくら歯周治療をしても良好な治癒が期待できません。

 さらに、タールが付着すると歯の表面が黒ずんでざらつき、歯垢や歯石もつきやすくなります。歯周病にかかる危険度に関しては非喫煙者を一とした場合、能動喫煙では4.9倍になるというデータが出ています。また、家庭や職場での受動喫煙によっても歯周病に罹患(りかん)する危険度は高まり2.9倍というデータも報告されています。

 喫煙は生活習慣の中で、歯周病の最大のリスクファクター(危険因子)といってよいでしょう。公共の場や乗り物などではいまや禁煙は当然のこととなりつつあります。喫煙者の皆さん、これを機会にご自身はもとよりご家族の健康のためにも禁煙に挑戦してみてください。

(県歯科医師会)