顎骨の発育不全

 

 しっかり噛む習慣つける

 最近、歯並びの良くない子どもが増えてきているようです。学校の歯科健診でも、歯が互い違いに並ぶ「叢生(そうせい)」、歯が本来の位置から違った位置に生えてしまう「転移歯」、上顎(うわあご)の歯が下顎の内側に入ってしまっている「交叉咬合(こうさこうごう)」「反対咬合」などが多々見られます。

 これらの一番の原因は顎骨の発育不全によって、顎の大きさの中に歯が納まりきれなくなっているためです。

 現代の食品は食材の形が分からなくなるくらいに加工された食品が増えており、また食品を軟らかく、溶けやすくして口当たりを滑らかにする傾向があるため、結果として噛(か)む回数が減ることになります。

 ちなみに和食とファストフードを比べると、噛む回数・食事時間ともにファストフードが和食の半分以下であるといわれています。この食生活の変化が現代の子どもたちの顎骨の発育不全を引き起こしているのです。

 よく噛むためには、噛みごたえのある動植物繊維質の食材を食べること、食材を流し込むような原因になる水や冷たいお茶を食卓に置かない、家族で会話をしながら食事をして1人で食べさせることを避けること、など注意が必要です。

 また、小さいころから多種多様な食材を食べさせることで、前歯で噛み切り、奥歯(臼歯)ですりつぶして舌やほおを機能させ、しっかり食材を味わう習慣がついてくるのです。

 人間の顎骨の成長は平均すると女子で14歳、男子は17歳までで終了してしまうので、それまでの幼児期・小児期の食生活や生活習慣を見直して、子どもたちの顎骨を正常に成長させる手助けをしてあげることが重要になってきます。

(県歯科医師会)