命にかかわる歯周病(下)

 

 「糖尿病」との密接な関係

 歯周病は、網膜症、腎症、神経障害、心筋梗塞(こうそく)、脳梗塞に次いで、糖尿病の第6番目の合併症といわれ、糖尿病が歯周病を引き起こすことはよく知られています。逆に、歯周病による慢性的な炎症が続くとTNF--αという物質が増加し血液中に流れ込んで血糖をコントロールしているすい臓のインスリンの働きを妨げるようになります。そうなると血糖が上昇し糖尿病になることが分かってきました。

 世界では4秒に1人が糖尿病になり、10秒に1人が糖尿病のため亡くなっています。日本の患者数は890万人、予備群も1320万人います。国連は2006年、糖尿病が脅威ある疾患であるという決議をしました。問題は合併症で網膜や腎臓の病気、神経の障害のほか、心臓や足の動脈硬化による閉塞性の病気が起こりやすくなります。

 糖尿病の人は糖尿病でない人に比べて、歯周病菌の量が多いという報告もあります。また、歯周病が重症な人は歯周病でない人に比べて、血管の動脈硬化が進みやすいことも分かってきました。

 糖尿病の人の歯石を除去してブラッシングを指導するだけで血糖値が下がり、さらに、抗生物質を併用して歯周病を治療した場合は、もっと下がるという報告があります。

 歯周病をケアすると糖尿病が改善される、つまり歯周病が糖尿病に影響を与えるという相互の密接な関係があるのです。

 歯周病の原因は、歯と歯ぐきの間にたまった歯垢(しこう・プラーク)の中にいる歯周病菌。歯周病菌が歯ぐきにダメージを与え、少しずつ歯を支える組織を破壊していきますが、痛みなど自覚症状がないため、気付かないうちにひどくなるケースが多いのです。歯科医院で定期的にチェックしてもらい、必要な時には治療を受けることが大切です。

(県歯科医師会)