リスクコントロール

 

 普段から適切にケアして

 多くのお年寄りが入れ歯になっているので、年を取ると歯がなくなるのが当り前と勘違いしている人がいるかもしれませんが、かかりつけの歯科医院で普段から適切なケアを受けていれば、年を取っても入れ歯になることはありません。

 過去の虫歯の経験はDMFTという指数で表します。D(虫歯の穴のある歯の数)+M(失った歯の数)+F(詰め物をした歯の数)の合計がDMFTです。20歳の日本人はDMFTが9.2、虫歯の経験が1人平均で9.2本あるということです。1本も虫歯のない人は、25人に1人となっています。

 虫歯のリスクコントロールが進んでいるスウェーデンでは、30年くらい前は日本とあまり違いがなかったのですが、指数は年々下がって3.6本となっています。1本も虫歯のない人は5人に1人です。

 実は、北欧では、虫歯の原因から治療に至る学問カリオロジーが発展してきて、虫歯になってしまった歯を削って詰める治療のほか、病気の原因を理解した上で治療をすることにも重点を移してきたのです。

 20歳で平均9.2本の虫歯が、その後、年を取るとどうなっていくのでしょうか?

 40歳ぐらいからFが減り始め、Mが増え始めます。FとMは年とともに増加し、70歳前に28本のうち半分以上の歯を失い、入れ歯になります。

 人が歯を失う理由は、虫歯が55.0%、歯周病が38.4%、その他歯牙(しが)破折や事故による外傷が6.6%となっています。

 患者さん一人一人の病気のかかりやすさ(リスク)を調べ、それを基にリスクをコントロールしてくれるかかりつけ歯科医院を持ち、さらに定期的に口腔(こうくう)チェックをしましょう。

(県歯科医師会)