たばこの害

 

 歯周病、口内のがん要因に

 たばこを「おいしい」と感じるのは、たばこに含まれるニコチンなどが脳を刺激し、一時的に頭がすっきりしたり疲れが取れたような気がするほか、手持ちぶさたを解消する手段としての精神的な作用があるためです。

 たばこの煙の中には、200種類以上の有害物質が含まれています。このうち、ニコチンと一酸化炭素は体中の末梢(まっしょう)血管を収縮させて動脈硬化や心臓疾患の誘引となり、免疫力の低下や歯肉の血行障害によって歯周病が進行しやすく、治療しても治りにくい状態になってしまいます。その上、出血や腫脹(しゅちょう)などの炎症症状が表面化しにくいため自覚症状が少なく、重症化しやすい傾向があります。

 タールには60種類以上の発がん性物質が含まれており、舌や歯肉、頬(ほお)の粘膜に発症するがんの発症率が非喫煙者の3〜30倍にもなります。

 喫煙のもう一つの大きな問題に、間接的に煙を吸ってしまう「受動喫煙」があります。たばこの煙にはフィルターを通して本人が吸い込む"主流煙"とそれを吐き出す"呼出煙"、そしてたばこの先から立ち上る"副流煙"がありますが、フィルターを通らない副流煙の方が有害物質の量は数倍も多く、受動喫煙によって周りの人たちも喫煙、本人以上の害を与えているのです。

 特に子どもは影響を受けやすく、喘息(ぜんそく)などの疾患のほか、色素の沈着による歯肉の黒ずみの割合も多くなります。平成15年に施行された「健康増進法」では、学校・官公庁・病院その他の公共の施設では受動喫煙を防止するための措置が義務化されています。

 自分の健康のためだけでなく、大切な家族や周りの人々の健康のためにも禁煙を考えている方はぜひ実行してはいかがでしょうか。

(県歯科医師会)