子どもの食べ物

 

 発達・成長に合わせ選択を

 最近、あまりよくかまずに軟らかく食べやすいものを好む子どもが増えています。

 乳歯列期に軟らかいものばかり食べていると偏食になり、歯並びも悪くなります。成長期に、ある程度の硬いものを食べてあごの筋肉を発達させておかなかったことがその原因の一つかもしれません。 

 しかし、それ以前の乳児期の咀嚼(そしゃく)力が十分発達しないうちに硬いものを食べさせると、かえってかむことができなくなることがあります。

 小児の咀嚼の発達は、かまないで飲み込むゴックン期から、プリンやお豆腐など舌でつぶれる程度のものが食べられるモグモグ期、そしておかゆやバナナなど歯ぐきでつぶせるものが食べられるカミカミ期と順に進んでいきます。この発達段階に合わせて食べると咀嚼力が培われるのですが、硬過ぎる離乳食では逆効果です。

 基礎力がないままに硬いものを食べると丸のみすることになり、かむ練習ができないまま成長してしまうのです。ですから乳臼(にゅうきゅう)歯(し)が生えそろう2歳までに発達に合わせて食べ物を与えることが大事です。

 子どもの咀嚼の発達段階は唇の動きを観察すると分かります。ゴックンしている時期はほとんど動きませんが、カミカミ期になると、唇を片方に曲げて食べるようになります。2、3歳になってもまだ上手にかめない場合は年齢に関係なく離乳食に戻すのも一つの方法です。かみ応えのある食品は乳歯が生えそろってからでもいいでしょう。

 また、乳歯が生え替わる時期は咀嚼効率が落ちるので、食べ物や食事時間にも配慮が必要です。

(県歯科医師会)