総入れ歯が合わない

 

 定期的な手入れで快適に

 総入れ歯の悩みといえば、やはり「痛い」「噛(か)めない」ということです。部分入れ歯と違ってどこにも引っ掛けず、軟らかい歯茎の上に乗せて使う総入れ歯は、吸盤のように歯茎にくっついてくれないと、噛むたびにずれて痛みます。

 そこで歯科医師は、歯茎と顎の骨の状態、そして入れ歯を手掛かりに、問題を解決すべく奮闘するわけですが、総入れ歯の悩みの原因は一見どれも同じように見えて、実は患者さんの刻々と変化しているお口の状態や、その入れ歯と患者さんのお付き合いの歴史などによって大きく異なってきます。

 入れ歯は、患者さんの慣れるための努力と、歯科医の調整という相互の協力によって、実際に使えるものへと育っていきます。調整がうまくいって今はよく噛めても、患者さんのお口は自然に少しずつ変わっていきます。顎の骨が痩せたり、歯茎や頬の筋肉が痩せたりと多様な変化が起こります。また、入れ歯自体も変わります。道具ですから毎日使って入れ歯がすり減ったり材質が劣化したり消耗していきます。

 入れ歯が緩んでも我慢してそのまま使っていると、ついにはどの位置が正しい噛み合わせなのかすっかり分からなくなったり、顎の骨がひどく痩せてしまったり、その後の入れ歯とのお付き合いが難しくなってしまうことがあります。

 そこで、問題を早期に発見し、早期に対応するために、ぜひ3カ月から半年に1度、歯科医院の定期的なメンテナンスにおいでください。顎の骨の変化、入れ歯の状態、噛み合わせのチェックなどを受けていただきたいのです。古い入れ歯が簡単な修理で快適な入れ歯に生まれ変わるケースもあります。おいしく食べられるお口を一緒に守っていきましょう。

(県歯科医師会)