口腔ケアとは(中)

 

 口内清潔にして肺炎予防

 近年、老人保健施設や特別養護老人施設、病院などで、肺炎に対する予防や処置が重要視されるようになってきています。他の病気で入院(入所)していても、肺炎などの悪化により最期を迎える人が大変多い事が問題となっているためです。

 当然のことながら、病院などでは体力や免疫力が低下し、感染症(細菌やウイルスなどによって起こる病気)に大変弱く、いわゆる「感染症弱者」と呼ばれる人が多いのです。

 肺炎は、肺炎球菌などのいわゆる肺炎の原因と考えられる細菌の感染によるものばかりでなく、口腔内常在菌(こうくうないじょうざいきん)(口の中に普通に存在している細菌類)によるものが多いことも分かってきました。

 元気に生活している健康な人ではあまり問題にならないタイプの細菌でも、体力や免疫力が弱くなった高齢者などでは、他のさまざまな病気の原因になるといわれています。

 肺炎ばかりでなく、心内膜炎や糖尿病などの原因になることも分かっています。特に、歯周病や虫歯のある人は、その原因菌が口の中で増え、他の病気の原因になる危険性が増すことになります。

 それでは、日々の生活の中で、どのようなことに注意すればいいのでしょうか。まず、歯周病や虫歯をきちんと治療することです。身体的な都合で、歯科治療をできない人は、口の中をできるだけ清潔にし、潤いを保つことで、肺炎などを防ぐことができます。

(県歯科医師会)