歯肉炎と歯周炎の違い
歯を支える骨にまで影響
「歯肉炎」とは、歯周病の初期段階のことです。これがさらに進行したものが「歯周炎」です。歯肉炎も歯周炎も同じ歯周病の仲間なのに、わざわざ分けて呼ぶのには訳があります。
歯の周りの組織の炎症が歯肉だけにとどまっている歯肉炎と、歯槽骨(歯を支えている骨)が炎症によって破壊されてしまう歯周炎では、同じ歯周病でありながら、その病態は全く異なるからです。
歯肉炎は、読んで字のごとく、炎症が歯肉に限られている状態です。この場合、細菌を減らして炎症を抑えれば、歯肉の腫れは引き、健康な状態へと戻すことができます。
しかし、この炎症がさらに深く広がり、歯を支える歯槽骨を溶かす歯周炎になると、事態はがらりと変わります。
歯周炎の状態になった歯の周りの組織は、炎症によって歯槽骨や歯根膜(歯と歯槽骨をつなぐ線維)、そして歯と歯肉の付着が壊れてしまっています。
これらの組織は、一度壊れてしまうと決して元には戻りません。
現在は、歯槽骨を増やすための再生療法や、歯周ポケットを浅くするための外科処置など高度な治療も行われています。かつてなら救えなかった歯も救われるケースは確実に増えています。
「歯磨きをすると血が出る」など歯肉の変化に気が付いたら、できるだけ早く歯科医院を受診して、早期発見・早期治療で歯を守りましょう。
(県歯科医師会)