強い外傷で歯も脱臼

 

 乾燥しないように保存を

 外傷により足や手が脱臼することはよく知られていますが、歯も強い外傷で脱臼します。

 歯を骨(歯槽骨)に固定している組織(歯根膜)が断裂することを歯の脱臼といいます。脱臼には歯が骨から完全に離れて抜け落ちてしまう(脱落)ような完全脱臼から、一部の歯根膜が断裂しただけの不完全脱臼までさまざまな脱臼のケースがあります。

 脱臼してしまったときの緊急処置として、口の外に落ちた場合には、すぐに拾い、軽く水洗いし(水道水なら30秒以内)、乾燥しないようにすることが大切です。専用の保存液に入れるか、すぐに牛乳が手に入るなら、牛乳の中に保存し、ない場合には飲み込まないようにして、唇と歯茎の間に入れてすぐに歯科を受診しましょう。

 歯科医院では、歯の割れや、骨折がないことをエックス線で確認し、歯を元の位置に戻し(再植)、両隣の歯と接着剤でくっつけます(固定)。

 歯が歯槽骨から脱落している場合でも、60分以内なら歯根膜の乾燥やひどい汚れがなければ再植術の成功率は高いといわれています。しかし、場合によっては数年で再植した歯の根が病的に溶けて吸収されることがあるので、定期的な観察が必要です。

 また、歯根が完成していない歯では、再植後に神経が生き返ることがあります。経過を観察し、生き返らない場合は神経の治療をします。転倒や強打などで歯がぐらついたらできる限り早急に歯科医院を受診しましょう。

(県歯科医師会)