部分入れ歯

 

 鉤歯を大事にして快適に

 通常、部分入れ歯には入れ歯の保持、安定のために「クラスプ」と呼ばれる金属のバネが複数付いており、そのバネが残っている歯を把持(はじ)することで入れ歯が動いたり、落ちてくるのを防いでいます。

 クラスプの適合が悪かったり、金属疲労により把持する力が弱くなると、入れ歯はガタついて安定が悪くなるため、クラスプを調整したり、作り直すことが必要になります。

 クラスプが把持している歯を「鉤歯(こうし)」と呼びますが、鉤歯が壊れたり、脱落すれば、入れ歯は安定を失うことになります。

 鉤歯そのものが弱って動揺が大きくなれば、入れ歯も同時に動いてしまうことになり、食事の際に食べ物が入れ歯と粘膜の間に挟まりやすくなり、発音しにくくなることもあります。

 特にクラスプは、構造が複雑で繊細なため周囲に食物残渣(ざんさ)や歯垢(しこう)が停滞しやすく、鉤歯は、むし歯や歯周炎にかかりやすい環境に常にさらされています。一日に数回(できれば食後に)入れ歯を外して清掃するとともに、口の中もブラッシングを行い、鉤歯周囲を清潔に保つことが重要です。

 また、就寝時には入れ歯を外しておいた方が唾液の自浄作用により歯垢の増殖を抑えられます。

 部分入れ歯の支えになっている鉤歯の手入れを常日ごろ丁寧に行い、鉤歯を健全に保つことが、部分入れ歯を長く快適に使用することにつながるのです。

(県歯科医師会)