口腔ケア

 

 寝たきりでなくとも必要

 最近、口腔(こうくう)ケアという言葉をよく聞きます。主に寝たきりの人の誤嚥(ごえん)性肺炎を防止するための口腔内清掃を指すことが多いようです。しかし、口腔内の管理は、寝たきりになったから必要なわけではなく、全ての人に必要なケアです。

 子どもであれば、むし歯を防止することによって食育を促し、将来の口腔内環境の整備につながります。食は生きる喜びでもあり、生きていくために必要な行動です。

 口腔内の細菌はさまざまな悪さをします。口腔内の細菌が唾液とともに誤って肺に入ることによる誤嚥性肺炎、歯周病菌から発生する因子による全身疾患の増悪、歯肉などから血液に入った細菌が体に入り込むことによって起こる心臓疾患やその入り込んだ細菌を核とする血栓の発現など、これらは直接命に関わります。

 かみ合わせも重要で、歯を失いかみ合わせることができなくなると、脳の活性化が落ちるともいわれています。

 このように、口腔ケアとは、むし歯や歯槽膿(のう)漏(ろう)、かみ合わせの治療など、全てを含めて口腔ケアといいます。

 健康な成人でも、完全な口腔清掃を自分だけで行うのは困難です。口腔ケアは特別な人だけに必要なものではありません。常日ごろの歯科医院での歯科治療を含めた定期的なケアが必要です。

(県歯科医師会)