歯科疾患

 

 さまざまな全身疾患誘因

 歯科疾患のほとんどは、う蝕(しょく)(むし歯)と歯周病(歯槽膿漏(のうろう))です。そのほか、口腔(こうくう)領域の悪性腫瘍や骨折などさまざまな疾患が存在しますが、種類は多いものの数は少なく、特殊な疾患群です。

 むし歯と歯槽膿漏は、歯性感染症といって、細菌によって引き起こされる感染症です。治療は感染症への対応と感染病巣(歯質)の除去などが主流です。しかし、感染に対する治療だけでは形態や機能が回復しません。そこで、欠損した歯には充填(じゅうてん)をしたり被せ物を入れたり、また、歯が喪失してしまった場合は、ブリッジや入れ歯などで対応します。感染症を治し、その後の機能回復まで行い、口の中の健康は維持されています。

 では、歯科疾患がなぜ全身と関わりを持つのでしょうか。むし歯や歯槽膿漏は初期の場合、歯や歯の周りの組織に限定されています。しかし、進行すると歯の中を通っている神経を介し細菌が顎(がく)骨内に漏出し血管を通して全身に回り、時には血流を通して達した部位に細菌が繁殖したり、歯の周りの組織の炎症がさまざまな全身疾患を引き起こすこともあります。

 これらの予防には口腔ケアが重要ですが、口腔ケアとは、口の中の清掃をするだけのことではなく、口の中の疾患をコントロールすることも含まれます。すなわち口の中の病気を早めに治療しておくことが重要なのです。

(県歯科医師会)