歯の神経を取ること

 

 むし歯は初期の処置大切

 むし歯で残念ながら神経を取る処置(抜髄)を経験した方は多いと思います。歯の神経を取ると歯の中にある象牙質と呼ばれる組織に栄養が供給されず細胞は死滅します。

 通常死んだ組織は異物排除が働き体外へ排除されます。では、なぜ歯は口腔(こうくう)内にとどまるのでしょう。実は象牙質の表面には歯ぐきの方から栄養を得ているセメント質があるため、生体は死んだ組織と認識しないのです。

 神経を取った歯は強い力でかむと違和感が生じるため、健康な歯の半分の咀嚼(そしゃく)力となります。また過度な力が慢性的に繰り返された場合、亀裂や破折(歯根破折)を生じることがあります。生きた木は小枝でも折れませんが、枯れた木が容易に折れたりするのと同じことです。

 歯根破折は抜歯になることが多く大きな問題となっています。歯根破折を起こさないためには抜髄をしないことです。小さなむし歯で処置が完了することが肝要です。

 さて抜髄後の処置は原則として破折を防止するため冠をかぶせますが、時間が経過すると歯肉が下がり、歯の根元のむし歯が発生しやすくなります。また痛みが出ないため、知らず知らずのうちに大きなむし歯になったりします。冠をかぶせた歯は特に清掃が必要となります。(県歯科医師会)