「唾液の働き」 消化助け抗菌作用も

 

 唾液には、たくさんの働きがあります。口の中に食べ物を入れた時には味覚を感じ、かみ砕くことによりのみ込むことができるようにします。発音する時には舌や唇の運動は、唾液の湿潤作用により円滑に行うことができます。

 唾液の分泌量は、成人で1日1~1.5リットル分泌されると言われています。これは、年齢、精神的緊張、疲労状態などによって変化します。

 唾液の性状は、漿(しょう)液性と粘液性とに分けられます。漿液性は、心身が穏やかな状態にある時に作用しがちな副交感神経によって分泌され、サラサラしている唾液です。

 粘液性は、心身が刺激やストレスを受けたときに交感神経が作用することで分泌され、糖タンパクが多く含まれるためネバネバした唾液となります。

 緊張している時や口腔(こうくう)衛生状態などにより分泌される唾液が、漿液性や粘液性に変化します。

 また、唾液は潤滑剤の役割を担っていて歯がすり減らないように守ってくれたり、義歯を入れても粘膜が傷つきにくかったりするのは、唾液のおかげです。特に義歯では、唾液の分泌量や性状がその維持力に大きく影響しています。

 唾液にはさまざまな成分が含まれ、消化酵素で消化を助けたり、傷の修復作用や細菌の増殖を抑制する抗菌作用、食後の酸性に傾いた口内を中和させる作用、初期むし歯の修復作用などもあります。

 (県歯科医師会)