「超高齢社会」 歯の保存、生活の質維持に

 

 日本は世界に類を見ないスピードで高齢化が進み、すでに超高齢社会に突入しています。平均寿命は年々更新され、現在の亡くなる方の最頻値(最も頻繁に出現する値)は平均91歳とされているほどです。しかし、歯の寿命は生命ほど長くなっておらず、欠損に対する回復と天然の歯への対応をよく考えなければなりません。

 さらに、メタボリックシンドロームに代表されるように、生活習慣に起因する問題が重篤な疾患に直接関与していることも認識されており、壮年期に生活習慣を改善することが、健康で長生きすることに直結しています。

 多数歯欠損および歯周病などで咀嚼(そしゃく)機能が低下すると、さまざまな問題が起こります。よくかめないということは、食事の質に影響を与え、それが栄養面での偏りとなって、生活習慣病に陥りやすくなります。

 また、脳への刺激が薄れ、認知症のリスクも高くなることが示唆されています。よくかめるということは、咬合(こうごう)力があるというとらえ方もできます。一般的に高齢者は咬合力が低下すると考えられていますが、歯を多数有している人は、若者と咬合力に差がないことも証明されており、歯の保存もしくは欠損部を補う治療を行うことが、QOL(生活の質)の維持に役立つことは間違いありません。

 また、高齢期は低栄養にならないようにバランスの良い食事を心がけるようにしましょう。

(県歯科医師会)