海産物から十分なヨウ素

 

 甲状腺は「ヨウ素」を原材料として新陳代謝を活性化する甲状腺ホルモンを作っています。「ヨウ素」は昆布やワカメ、魚ではタラなどに多く含まれます。日本人は海産物を多く食べるため、世界的に見ても日常的に「ヨウ素」を摂取し、意識しなくとも不足することがほとんどないことが知られています。

 それに対して、原発事故直後に周辺に飛散してしまったのは、(通常の)「ヨウ素」ではなく、放射線を出し甲状腺を被ばくさせる能力を持つ「放射性ヨウ素」でした。

 日常的に海産物を摂取し、甲状腺に(通常の)「ヨウ素」が多い状態であれば、「放射性ヨウ素」がやってきても甲状腺の中に入るスキがありません。震災当時の甲状腺の被ばくに対し、日本人の食習慣が防御的に働いた、ということは幸運でした。ちなみに「放射性ヨウ素」は半減期が8日間と短いため、今現在は存在していません。