妊娠時の放射線、影響なし

 

 広島・長崎での原爆投下後、妊娠して生まれてきた世代(被ばく2世)において、がんやその他の疾患の増加(遺伝的な影響)は認められていません。たくさんの放射線を浴びた場合に、次世代以降の子孫に遺伝的な障害が起きる可能性について、動物実験では見つかっていても、ヒトでは確認されていません。今回の事故に伴う放射線によって、遺伝的な影響を危惧するような状況には全くありません。

 これらは、両親が放射線を浴びた後に妊娠が成立した場合の話です。妊娠が成立した後に放射線を浴びた場合、つまりお母さんのおなかの中(胎児の状態)で放射線を浴びた場合にはまた別のことが分かっています。

 広島・長崎などの経験から、お母さんのおなかの中でたくさんの放射線を浴びた場合、その後の胎児の臓器の形成や精神の発達に影響が出る場合があることが知られています。ただし、ある一定の放射線の量(100ミリシーベルト)以下ではその影響が生じず、100ミリシーベルト以上の放射線だと影響が生じるという、「しきい値(影響が出るか出ないかの境目の値)」が存在するということも分かっています。

 そのため、遺伝的な影響と同じく、今回の事故に伴う放射線によって、胎児への影響を危惧するような状況にも全くないのです。