子から親被ばく関連なし

 

 広島・長崎での原爆投下後、妊娠して生まれてきた世代(被爆2世)において、がんやその他の疾患の増加(遺伝的な影響)は認められていません。今日はこれをもう少し具体的に説明したいと思います。

 一つは被爆2世における、がんについてです。がんという病気が放射線以外のさまざまな理由で起こり得る以上、2世の方の中には、がんによってお亡くなりになる方もおられます。しかしながら、1958年から約40年間に約4万人の2世の方を対象とした調査では、2世の方のがんの発症と親の被ばく量に関連がない。言い換えると、ご両親がより多くの放射線を浴びていたとしても、2世の方がよりがんになることはありませんでした。

 二つ目は被爆2世における生活習慣病についてです。こちらも同じく、2002年から約5年間に約1万2000人の2世の方を対象とした調査では、ご両親がより多くの放射線を浴びていたとしても、2世の方がより生活習慣病を持つということもありませんでした。

 今回の事故に伴って受けた放射線の量は、原爆に伴うものよりも桁違いに低いです。このような結果が、私たちが今回の事故の放射線による遺伝的な影響を危惧する状況にないことを示す根拠となっています。