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  特定・特別医療法人福島厚生会

     福島第一病院 内科部長

     板橋 孝(いたばし たかし)さん
福島市出身。埼玉医科大学卒後、同院内科入局。さきたま病院、門倉病院、埼玉医科大学附属病院第1内科 病院助手、社会保険埼玉中央病院 内科医長を経て、平成6年4月より福島第一病院 内科部長として勤務。現在、月・火・木・金の午前中、外来診療にあたっている。

熱中症を予防しよう

 熱中症については、皆さんもある程度知識をお持ちだと思います。今回はプラスアルファとして、注意点や対策をお話しします。

 注意その1 真夏でなくても熱中症は起こります!
 真夏の暑い時には、多くの方が注意すると思いますが、まだ本格的な暑さを迎える前でも、熱中症になることがあるので、注意が必要です。例えば、梅雨の合間の晴れ上がった時などです。湿気があり、ムシムシして気温が上がるといった時に起こりやすいのです。

 注意その2 屋外でなくても熱中症になります!
 以前は日射病と言っていたように、炎天下の屋外で最もなりやすいのですが、体育館や工場、一般の家の中でも、屋内の蒸し暑いところなら熱中症になることがあります。屋内だから大丈夫と安心しないでください。

 注意その3 水ばかり飲んでいても熱中症になります
 エッ! ちゃんと水を飲んでいるのに? と思われるかもしれませんが、そうなのです。水や麦茶やウーロン茶だけでは、熱中症になってしまいます。これについては、この後でお話ししたいと思います。
 さてこれから、熱中症の基本的なお話をします。熱中症は重症度と症状や病態の違いから、A熱けいれん、B熱疲労、C熱射病に分類します。

 A熱けいれん…とは、スポーツや運動中に、急に発症する筋肉のけいれんです。足のふくらはぎや太もも、腹筋がつることがあります。水分は摂取しても、発汗によって塩分が不足し、筋肉のけいれんが起こってしまうのです。
 先ほど、注意その3で書きましたが、水や麦茶やウーロン茶を飲んでいるだけだと、少しの発汗なら問題はないのですが、多量に発汗すると汗の中に含まれているナトリウム、カリウム、クロール、カルシウム、マグネシウムなどの電解質が失われることによって、筋肉のけいれんが起こってしまいます。水分と一緒に電解質も補わなければいけません。今はどこでもスポーツ飲料水を手に入れることができます。運動する時には、スポーツ飲料水を摂取するようにしましょう。どうしてもスポーツ飲料水が苦手な方は、水やお茶と一緒に少量の塩分も補給すると良いでしょう。
 また、運動をすると糖分も不足しがちになります。低血糖の予防に糖分も補給することをお勧めします。

 B熱疲労…とは、熱けいれんよりも脱水と塩分喪失が重症で、頭痛、悪心、嘔吐、めまい、疲労感などの症状があります。こうなると、病院での治療が必要となり、点滴で脱水と電解質の補正を行います。

 C熱射病…とは、熱中症の中で、最も重症で恐ろしい病態です。40℃以上の高体温、意識障害、けいれん発作などの症状と、場合によっては急性腎不全となり、死に至ることもあります。

 さて、これからは熱中症の対策をお話しします。熱中症に対しては何よりも予防が大切です。

 1 前もって補給しておく!
 スポーツや屋外、蒸し暑い所での作業や、そのほか汗をかきそうな時には、汗をかいてからではなく、あらかじめ飲んでおくことが大事です。そのためにも、十分な量を準備しておき、持参することを忘れないでください。また、子どもさんには持たせてあげてください。

 2 休む勇気を!
 カゼ気味、熱がある、下痢をしているなど、体調が悪い時には、勇気を持って休みましょう。体調不良の時には、簡単に脱水状態となり、熱中症になってしまいます。子どもたちにスポーツの指導をされている方もいらっしゃると思います。どうか、練習や試合の前には子どもたちの体調を確認し、悪いときには、子どもたちが自分から言えるように、日ごろから指導していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 3 こまめに補給を!
 あらかじめ飲んでおくことに加え、その後もこまめに補給をすることが大事です。呼吸や皮膚からの水分喪失は思っている以上に多いのです。
 毎年、熱中症による事故が新聞やテレビで報道されますが、熱中症予防の正しい知識を持っていただいて、楽しく運動してもらえればと思います。
 私が子どものころには、「水を飲むな」「水を飲むとバテる」「根性が足りないから欲しくなるのだ」などと誤った考えが横行していました。現代では、運動時にはスポーツ飲料水の補給は不可欠だと認識されています。
 私事で恐縮ですが、私は趣味のテニスをする時には、必ずスポーツ飲料水を前もって飲んでおきます。そして、暑い日には、スポーツ飲料水を冷やして持っていき、テニスの合間に、何度も飲むようにしています。仲間にもスポーツ飲料水を飲むように勧めています。
 当直明けで寝不足の時は、その旨を伝え、途中で交代してもらったり、休憩を取りながら続けるようにしています。
 また、暑い日には氷嚢を用意して、首筋をアイシングするのも火照った身体をクールダウンするのに良い方法です。

 最後に、高齢者の方は特に熱中症に注意が必要です。高齢者の方はもともと体内の水分量が少なく、容易に脱水状態に陥りやすいのです。ちょっと庭の草むしりを…の、つもりが、つい頑張ってしまったり、また、屋外でなくても蒸し暑い家の中では、普段よりも水分を多くとるように注意しなければなりません。皆さん、ぜひ、十分な補給をして熱中症を予防してください。

◆福島第一病院=電話024・557・5111。

ME&YOU5月号より
 



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