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あなたの笑顔    元気をサポート
 みなさんの笑顔と元気をサポートする「健康ジャーナル」。会津中央病院(会津若松市)の病院長・武市和之先生が、身近な病気の解説や最新の医療情報を紹介します。今回のテーマは、災害医療の現場で活躍する「DMAT」についてです。
作業業法=「こころ」と「からだ」のリハビリテーション
財団法人温知会
会津中央病院 病院長


     武市 和之 先生
 徳島県生まれ。高校卒業後、福島県立医科大学に入学。1979(昭和54)年に会津中央病院へ赴任。93(平成5)年に会津中央病院副診療部長、97年に会津中央病院副院長となり、2000年から会津中央病院病院長に就任。また07年からは日本医科大学客員教授にも就任。

「作業活動」を通して認知症の高齢者をサポート
 皆さんは、「作業療法(士)」という職業をご存知ですか。作業療法はリハビリテーションの専門職で、子どもからお年寄りまで、生活に障がいのあるすべての人に関わります。基本能力(運動機能・精神機能)や、応用能力(食事やトイレなど生活で行われる活動)、社会生活適応能力(地域活動への参加・就労就学の準備)、また環境(人的環境・物理的環境)の調整や社会資源・諸制度活用の促しなどを、作業活動を通して支援していきます。

 作業療法が指す「作業活動」とは、日常生活動作や仕事・遊びなど、人間に関わる全ての諸活動のことであり、治療や援助もしくは指導の手段としています。今回は、主に高齢者の認知症に関するケアについて紹介します。

◇ケアのポイント◇

お年寄りの心の状態

 体験したことをすぐに忘れてしまうため、生活の一コマ、一コマに連続性が見出せなくなります。これはちょうど、いつも途中から映画を見ているようなもので、自分の周りで起こっていることについて正確に理解することができません。そのため不安な気持ちに陥ったり、混乱した反応を示したりします。

お年寄りに接する基本

(1)お年寄りのペースに合わせる(介護する側とお年寄りでは時間の流れが違います)。

・ポイント=ひと呼吸待つ 。

(2)根気よく繰り返し答える(同じことを何度も聞いてきます)。

・ポイント=環境を変える、話の5割は聞き流す。

(3)一度に一つのことを伝えるようにする(一度にたくさんの情報では不安を招くことが多いのです)。

・ポイント=言葉を分割する。

 ※例えば…こちらに来て座ってほしい場合→「ここに来てください」と呼んで、実際に来た後に「座ってください」と伝えます。

(4)話すだけでなく書いてみる(言葉だけではすぐに忘れてしまいます)。

・ポイント=はり紙をする。

(5)感情は伝わることを忘れない(聞いたことはすぐに忘れてもそこに働いた感情は心の中に残っています)。

・ポイント=介護の苦労の中で家族だからこそ感情的に我慢できないこともあります。1日でも距離をおくと、ゆとりが生まれることもあります。

 「あなたのことを気にかけていますよ」「安心してね」という心の言葉を、認知症高齢者の心にどうやったら届くのか、それを考えることが重要です。

 また、知らず知らずのうちにお年寄りの行動を抑制していることがあります。そのことに気付くこともケアを行う上で大切なことです。

認知症の大まかな状態像

 認知症の大まかな状態やケアのポイントについては上の表のタイプにある通りです。このタイプ分けは、日本作業療法士協会が認知症アセスメント表を作成するに当たり、独自に考案したもので、およそ140のデータをもとに状態像で大まかに分けたものです。

「あれ?」と思ったら家族で抱え込まずすぐに相談を!

 認知症も早期発見・早期治療が大切です。ご家族が認知症の初発症状に気付いたら、一人で抱え込まず、病院や地域包括支援センター、高齢者総合相談センター、市町村保健センターなどへ相談してください。


                   ☆認知症の大まかな状態像とケアのポイント☆

タイプ 状態 支援の例

フリだしタイプ

ちょっとした物忘れがあります

日常生活での支障はほとんどなく、時折物忘れがあり、火の不始末などがあるかもしれません。スゴロクで言えば、フリだしにあたる認知症の初期段階、周囲の対応如何ではその後の認知症の進行具合に影響を及ぼす大事な時期と言えます

・うっかりもの忘れ防止にメモ用紙やホワイトボードの活用をしましょう
・出来ないことを指摘してやめさせるより、出来ることをどんどんやってもらいましょう
・高齢者世帯や一人暮らしの方の場合、火災・緊急時の対応等への配慮も必要です。自動消火器や緊急通報システムなど福祉用具の紹介、民生委員・近所の方等との連携・協力も大切です

とりつくろいタイプ

もの忘れが強く、頑固さなどが目立ってきたら…

お金の管理や買い物など、ご家族に頼ることが多くなります。しかし、身の回りのことはほぼ自分で行うことができます。少しずつできないことが増え、ご本人も困惑し、それを受け入れてくれない周囲の者へ感情的に反応したりするかもしれません。失敗をとりつくろう、そんなタイプの認知症です

・役割を持つことで自分らしさを感じる方には、無理のない範囲で仕事などを頼んでみましょう
・通所リハビリや通所介護などの利用は、環境の違いに本人が不安を抱くことが多いため、徐々に環境に慣れていくように初めのうちは家族も同伴するなどの工夫をしましょう
・失敗体験にならないような、日常的な役割を受け持ってもらいましょう

不安・多動タイプ

身体は元気だけど、混乱が強くなってきます

不安な様子やそれに伴って、そわそわした動きが増えるタイプの認知症です。食事や歩行はほぼ大丈夫ですが、お金や服薬の管理ができず、身支度がうまくできなかったりお風呂に入らなかったりと介護者側からすると困ったと思われる状態が見られてきます

・不安感、イライラ感を抱いていることが多く、ご家族の関わり方によって、相手の反応や行動が変化していきます。「帰宅欲求」の場合は普段通りに接し、不安を助長させないようにしましょう
・張り紙やカレンダーなどの手がかりはいろいろな場面で効果があります
・徘徊に対応した福祉用具や家屋の工夫が必要です

介護ヘトヘトタイプ

身体も少し弱ってきて、介護に目が離せません。介護者もヘトヘト

歩行状態が不安定で、車椅子や杖を利用していることが多く、感情的にも不安定で目が離せず介護するご家族がヘトヘトになるタイプの認知症です。食事以外のほとんどで介助を必要とすることが多く、介助に対する不平不満を言うこともあります

・転倒に注意し、見守りができる態勢と大きな段差や階段など住宅の改修への配慮が必要です
・昼は活動して、夜は眠るといった生活のリズムを整えることが必要です
・言葉でのコミュニケーションができないこともあります。動作、仕草で何が伝えたいのかを感じる関わり方も大切です

ひっそり・ごそごそタイプ

身体もかなり弱ってきていますが、寝たきりではありません

寝たきりというわけではありませんが、意欲に乏しく動きの少ないタイプの認知症です。食事は何とか自分で食べられる方もいますが、日常生活の大部分において多くの介助が必要です。意志の疎通が難しい場合は、介護をいやがりトラブルになることもあります

・生活リズムの調整、寝たきりの防止が大切です
・わずかでも良い反応(笑顔や言葉)や動きを引き出す関わりをしましょう
・介護者の身体的負担の軽減など、在宅サービスの利用も視野に入れましょう
・車椅子の使用が多くなるので、段差解消など家屋の工夫にも考慮が必要です

 

2月号より
 



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