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特集《診察室スペシャル》 歯の健康
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執筆者:特定・特別医療法人福島厚生会
福島第一病院
歯科副部長 阿部守明さん
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◇阿部守明(あべ・もりあき)さん=1964年、宮城県栗原市生まれ。奥羽大学歯学部卒業後、同口腔病理学講座助手入局。郡山市内の歯科医院にて勤務。平成10年4月より福島第一病院勤務。現在歯科副部長として診療にあたっている。
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▼図2 |
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歯周病とは?
歯周病は、現在40歳以上の実に80%以上の方が罹患(りかん)している感染症です。
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歯肉の腫(は)れや出血、口臭や、歯が動いて不ぞろいになってきたり、ぐらぐらしたりします。痛みを伴うことが少ないので、気づいたときには手遅れで歯を失うことも少なくありません。
失うのは歯だけではありません。
近年、歯周病が全身の健康にも影響を及ほすことが分かってきています。手足の血管が詰まって腐り、指を失うこともあるパージャー病や、死亡率が高い心臓の病気・感染性心内膜炎は、歯周病菌が原因となる場合があります。
妊娠中に歯周病が進行すると超早産(32週以下)のリスクが高まり、赤ちゃんに障害が起きやすくなるという報告があります。
歯垢の特徴と除去が必要な理由について
歯周病の原因である歯垢(しこう)は、水回りや配水管のぬめりと同様の複数の細菌の集合体でバイオフィルムとも呼ばれます。歯垢は付着性があり、うがいでは落ちません。抗菌剤も卓効しません。もともとは常在菌なので、なくすこともできません。歯垢がたまって歯周病菌の毒カが強まり、体の抵抗力が下がると歯周病が進行しやすくなります。抵抗力は簡単には上がらないので、進行を防ぐために歯垢の除去が必要です。
最も簡単な方法が、歯ブラシでの機械的除去(ブラッシング) です。殺菌剤での化学的除去も行うと効果的です。
磨き残したプラーク細菌は2週間ほどで石灰化し、1カ月以上で歯面に付着して頑固な歯石となります。歯石は歯ブラシでは取れないうえ、ブラッシングの効果を著しく妨げます。理由は、歯石自体の粗造な面がさらに歯垢を付着しやすくし、歯周組織の炎症を引き起こす内毒素を含むためです。まず歯科医院で歯石を除去してもらいましょう。さらに、効果的なブラッシングを行うためには、磨きにくい部分を知ることも重要です。磨いたつもりでも、実際に磨き残しとなる部分は、歯と歯肉の境目、歯と歯の間、下の前歯の裏側、奥歯のかみ合わせの溝です。
また磨く部位によって歯ブラシの毛先の部分を変えると効率よく磨けます。奥歯の後ろや小さい凸凹には、つま先を、歯の裏側には、かかとを、歯と歯肉の境目、歯と歯の間には、わきを、歯の表面など広い面には、頭部の毛先全体を使うと良いでしょう(図1、2を参照してください)。
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持ち方はペンを持つようにして、軽い力(約200グラム)で磨きます。歯ブラシヘッドのわきや、つま先、かかとの毛束を意識して、歯と歯の間や、歯と歯肉の境に軽く当てプラークを毛先でこすり取るように小刻みに動かします。毛先でこすり取る感覚を意識することがポイントで、カを入れすぎれば、毛先が曲がってしまうし、大きく動かしすぎれば細かいところに毛先が当たりません。一本ずつ丁寧に磨くことで細かいところに毛先が届くようになります。磨きムラや同じ部位に集中しないように、一筆書きの要領で磨く順序を決めておきましょう。いったん磨いた後、歯面全体を舌で触れ、ヌルヌル(プラーク)が残っていないか確認をしましょう。残っている部分はツルツルするまで繰り返し毛先を当ててみましょう。なお、毛先が開くとプラークの除去効率が下がります。早めの交換は大切です。また、ブリッジの冠の周りや毛先の届きにくい歯と歯の間は歯間ブラシやデンクルフロスなどを使った方が良いでしょう。
ブラッシング法の種類について
ブラッシング法の種類は、歯ブラシの毛先を使う方法と歯ブラシの毛のわき腹を使う方法に分けられます。前者には、水平法、垂直法、スクラッピング法、フォーンズ法、バス法、バス改良法、プロッティング法、一歯ずつの縦磨き法があり、後者にはローリング法、スティルマン法、スティルマン改良法、チャーターズ法、ゴットリーブの垂直法、フィジオロジック法があります。毛先を使う方法の方が一般にプラークの除去効果が高く、比較的操作が簡単で子どもにも向いています。
ブラッシング法は多数ありますが、どれが正しくないということはありません。それぞれ一長一短があり、目的に合わせていくつかの種類を組み合わせて行うのが普通です。歯ブラシの持ち方、選び方も含め、自分に合った歯の磨き方は、やはり歯科医院でアドバイスを受けるのが良いでしょう。なお、参考までに毛先を使う方法を3種類紹介します。
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歯の磨き方のポイントについて
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●バス法
軟毛の密生した歯ブラシで歯軸と45度にします。毛先を歯肉薄に入るように当て、小刻みな加圧振動を加えます。歯周病のある人向き、歯頚部(けいぶ)、歯肉溝内の清掃に効果的です。
●スクラッビング法
毛先を歯面に90度に当て、小刻みに近遠心方向に加圧振動させながら、一歯ずつ移動します。一般の人向き、歯頚部付近の清掃にも効果的です。
●−歯ずつの縦磨き法
1本の歯の表側、裏側を湾曲に従い3面に分け、毛先を紙面に対し90度に当て、上下方向に往復運動させます。歯並びの悪いところや、歯と歯の間の清掃に適しています。
実際の歯科医院での、歯周病治療は、歯石除去や歯根面の汚染物質を除去するルートプレーニングとブラッシング指導が中心に行われます。患者自身が自分で行うプラークコントロールの継続と、定期的に歯石や深い歯周ポケット内などのプラークを歯科医院で除去(プロフェッショナルコントロール) してもらうことで初めて、治療効果が上がります。逆に言えば、歯磨きがうまくできなければ、歯科医院での治療がすべて無駄になるといっても過言ではありません。生活習慣の一部としてプラークコントロールを定着化することが、歯周病の進行を抑制し、全身の健康を保つことにつながります。
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ME&YOU8月号より
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