高尿酸血症~心血管疾患、慢性腎臓病との密接な関係

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 みなさんの笑顔と元気をサポートする「健康ジャーナル」。うめつLS内科クリニックの梅津啓孝先生が担当する最終回、高尿酸血症が及ぼす影響についてお話くださいます。
高尿酸血症~心血管疾患、慢性腎臓病との密接な関係
うめつLS内科クリニック
院長

梅津 啓孝 先生
1982(昭和57)年に福島県立医科 大学を卒業。同大大学院卒業時、医学博士号取得。済生会福島総合病院内科科長、医療法人立谷病院副院長、公立藤田総合病院内科科長などを経て2005(平 成17)年、福島市にうめつLS内科クリニックを開院。日本糖尿病学会糖尿病専門医、日本内科学会総合内科専門医。
 

 今回は、これまであまり触れてこなかった「高尿酸血症」が心血管障害や慢性腎臓病に及ぼす影響についてお話いたします。
 高尿酸血症といえば、まず「痛風」との関連が思い浮かびます。しかし、最近は高血圧、肥満、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、そして、慢性腎臓病や心血管障害との関連が注目されています。
 高尿酸血症といえば痛風ですが...
 まず、高尿酸血症と痛風との関係についてお話します。血液中の尿酸値(血清尿酸値)が
7・0㎎以上の高い値のまま、十数年経過すると「痛風発作」が起こります。痛風発作の前には、足の親指の付け根や、足首の関節、膝関節などに違和感を覚え、その後、24時間以内に局所の熱感、腫脹、発熱と激しい疼痛が出現します。初めの痛風発作は10~4日間で軽快しますが、治療を受けないと2年以内に約8割の患者が再発作を経験します。

 痛風関節炎を起こす原因としては、血清尿酸値の変動、アルコール摂取、プリン体を多く含む食品の多量摂取、一部の薬剤などが挙げられます。痛風の再発作は、血清尿酸値の平均が高いほど、高尿酸血症の持続期間が長いほど起こりやすくなります。血清尿酸値を6.0㎎未満にコントロールした患者の86%は痛風再発作を起こさなかったとの報告もあります。痛風と診断されたら、一時的に症状が軽くなっても、血清尿酸値を
6.0㎎以下で維持できるように治療を継続してください。
高血圧患者の独立した危険因子に
 高尿酸血症と高血圧症、心血管障害との関連も重要です。日本人成人男性の21.55%が高尿酸血症の報告があるように、日本人における高尿酸血症の頻度は増加しています。特に、高血圧患者に高頻度に合併することが知られています。重要なことは、高血圧患者では、高尿酸血症は心血管疾患(狭心症や心筋梗塞など)を引き起こす独立した危険因子と考えられていることです。例えば、血圧が良好にコントロールされた高血圧症を対象にした調査(WorksiteStudy)では、血清尿酸値は、その他の心血管疾患を引き起こす危険因子(肥満、血糖、脂質異常など)とは独立して心血管障害の発症に関連することが示されています。この研究では、血清尿酸値1㎎の上昇は、収縮期血圧10㎎の上昇と、コレステロール20㎎の上昇に相当することが統計学的に示されています。
慢性腎臓病とは密接に関連
 高尿酸血症と慢性腎臓病は、密接に関連しています。尿酸の70%は腎臓から排せつされています。慢性腎臓病では、尿酸の排せつが低下するため、高尿酸血症が認められることが多いのです。最近、この尿酸の直接作用(組織の酸化を進める作用)が心血管障害や慢性腎臓病の進行に影響していることがわかってきました。日本人を対象とした研究(井関ら)でも血清尿酸値と血清クレアチニン値(腎臓の機能障害の目安となる値)の上昇は関連していること、そして、eGFR(腎臓の機能を表す目安、60以下で腎機能障害あり)が低下しないように維持するためには、尿酸の正常化が重要であることが報告されています。
 慢性腎臓病における高尿酸血症の治療は重要です。尿酸の産生を抑制する治療薬の投与を受けて、血清尿酸値を1㎎下げることは、eGFR1/分の改善に相当すると推定されています。血清尿酸値は、主治医と相談して、6.0㎎以下を維持するように努めてください。
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 私の連載は今回で終了です。健康寿命を延ばして長生きするために、生活習慣の見直しと改善が重要であることを中心にお話して参りました。参考にしていただければ幸いです。ご愛読ありがとうございました。
12月号より