背が高い人の子供は背が高く、歯の悪い人の子供は...

 
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 みなさんの笑顔と元気をサポートする「健康ジャーナル」。塩田博文歯科(棚倉町)の塩田博文先生が担当する歯の健康シリーズです。
背が高い人の子供は背が高く、歯の悪い人の子供は...
歯科医師 塩田 博文先生
1980年に神奈川歯科大学を卒業。同年、故郷の棚倉町に塩田博文歯科を開く。95~96年、日本歯科医師会生涯研修セミナー「無歯顎の臨床」講師。2002年より塩田義塾塾長。「実際的総義歯づくり」(わかば出版)、「歯が痛くない時読む本」(砂書房)など著書多数。
 
 


 大変反省していることに、「歯を磨かなかったからこんなに悪く...」と患者さんを責める指導をしておりました。ここ10年ぐらいはそんなでもなくなって、講演させていただく時にも「歯を磨かないとダメですヨ」とは申し上げなくなりました。


 どういうことかと言いますと、一生ケンメー磨いていたであろう方が、残念なことに歯槽膿漏で歯を失っている事実を毎日の臨床で診させていただいているからです。

 

遺伝性が大きい虫歯と歯槽膿漏

 ここで話は大きく飛んでしまうことをお許しください。鳩山由紀夫さんのお父様は鳩山威一郎さんで、そのお父様は一郎さん。そしてそのお父様は和夫さんで、弟さんは邦夫さんです。邦夫さんは東大を一番で出て、同級生の東京都知事の桝添要一さんと大学模試で2番3番を争っていたという秀才だそうです。  

 由起夫さんの息子さんも大変優秀で、東大を出ているとのことです。鳩山家は和夫、一郎、威一郎、由起夫、そしてその息子さんと5代東大出で、全員現役合格とのことです。頭の良い家系ということになります。私のところなど親戚をどのように調べても東大は一人もおりません。  

 全く違う話で申し訳ありませんでした。背の低い人に頑張って背が高くなるようにと話される方はいないと思います。たくさん牛乳を飲んでも...。頑張れば足も少し速くなるし、勉強だってそうかもしれませんが、限界はあります。  

 背の低い方に頑張って背を伸ばすようにと言っていることと、私たちが歯を良く磨けば歯を守れると言うのは同じことかもしれません。もちろん磨かなくても大丈夫、ということではありませんが。  

 頑張っている方を責めていた自分を反省し、申し訳なく思っております。虫歯も歯槽膿漏も遺伝性が大きいということを私たちがよく理解したうえで、患者さんに指導というか、お願いや注意をしなくてはいけないことに気付きました。

「仕方がない」とは思わないで

 さて、それでは「我が家は親も歯が良くないし、ジーサンも良くなかったから、オレは仕方がない」とは思ってはいけないのです。自分もそうですが、子供や孫の歯を守るために「うちの家系は歯が強くはないようだから頑張ろう」と話す必要があります。もちろんここで申し上げたいことは、前述したように歯が弱いということであれば、それを認識して歯を守るべく努力をすることが大切、という結論です。  

 虫歯と歯槽膿漏。虫歯になりにくい人は歯槽膿漏になりやすいという話を聞かされることがあります。もちろん歯科医師からではありません。「そんなことは...」と専門家である私共が話しましても、「先生!失礼かもしれませんが事実そうです。私の父なんか虫歯は1本も無くて、歯槽膿漏で歯が全部抜けてしまいました」と経験を元に返されます。  

 そうおっしゃられると、もう何と答えて良いのやら悩んでしまったものです。確かにそう考えられるのは一理あります。逆に虫歯で歯が無くなってしまっている人は、歯が無いのですから歯槽膿漏で...とはならない、と言わねばならない訳です。  

 タマゴが先かニワトリが先かみたいな話になって、何とも結論付けられない話になってしまいます。

長持ちさせる努力が必要です

 今回の話は頭から脱線気味でしたが、前の話はさておき、系統的に弱い体質はある訳です。それを頭からいさめるというのは、医療としては適切性を欠きます。  

 しかし、弱いという認識を持ち、少しでも長持ちさせる努力は必要で、どんなことをすればより長持ちするかということを、私たちプロは適切にアドバイスして、歯の寿命を少しでも延ばすことに心血を注いでいかなくてはなりません。また歯医者の宣伝的になりますが、やはり定期的に相談というかチェックをしてもらうと、歯を守るモチベーションも上がりますので良いことと思います。  

 運良く問題が大きくなる前に発見してもらうこともありがたいこと、と気付いていただければと思います。

月号より