夜、尿に起きる「夜間頻尿」

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 みなさんの笑顔と元気をサポートする「健康ジャーナル」。大森中央泌尿器科・内科・外科クリニック(福島市)の横田崇先生の泌尿器科に関するお話です。
夜、尿に起きる「夜間頻尿」 
医療法人
大森中央泌尿器科・内科・
外科クリニック
横田崇先生
福島医科大学医学部卒、米国スタンフォード大留学、福島医大泌尿器科講座助教授などを経て2005年、福島市に医療法人大森中央泌尿器科・内科・外科クリニックを開院、福島市医師会理事。
 
 

    

 皆さん、明けましておめでとうございます。今月から担当することになりました、泌尿器科医の横田です。休みが少し長く取れる時には日ごろできないことをやると決めていますので、私のお正月は毎年寝正月そして午前中からお神酒を上げる(自分で飲む)など非日常的な生活をすることにしています。日ごろたまったストレス発散のために、休みの日くらいは妻に迷惑がかからない程度に、何をやっても良いのではないかと一人勝手なことを考えて1年の初めを迎えます。「一年の計は元旦にあり」ですが、皆さんはどのようなお正月を迎えていますか?

  さて、お正月やお祝い事そして仕事上に飲むアルコールですが、人間関係の潤滑油とも言われるように、飲んでいる時は気分が良くなり楽しいのですが、節度を持って飲まないと尿の量が増え、いつもよりオシッコに行く回数も多くなります。これはアルコールに限ったことではありません。カフェインを多く含む飲み物、例えばお茶やコーヒーにも尿量を増やす作用があります。昼間なら尿量が増えオシッコの回数が多くなっても、目が覚めているのでそれほど生活に支障は感じません。しかし寝ている夜間に尿量が増えれば、オシッコに起こされますので寝不足になってしまいます。日中、働いている方では仕事に差し支えますし、さらに夜間に何度もトイレに行くようになっては問題はもっと深刻です。眠気のあるまま暗い中トイレに起きると、つまずきや転倒で骨折やけがなどの事態を引き起こすことが多いと言われています。

原因  

 夜間、何度もトイレに行くことを「夜間頻尿」と言います。夜間頻尿になるのは①夜間オシッコの量が増えること②膀胱にためられる尿が少なくなってしまう(膀胱の容積が小さい)こと③睡眠に何らかの問題があることの3つです。おのおのの原因には様々な病気が関係しています。①では高血圧症、心不全、脳血管障害などの循環器の病気や糖尿病、それとネフローゼ症候群などの腎臓の病気、水分過剰摂取や冒頭で書きましたアルコール・カフェイン摂取も原因として考えられます。②では泌尿器科の病気である前立腺肥大症、過活動膀胱が主なものですが、特異な病気として間質性膀胱炎があります。③では図1に示す病気との関連が深いと考えられています。

高齢者

 一方、高齢者では病気の有無に関わらず年齢とともに排尿に起きる頻度が高くなることがわかっています(図2)。日本排尿機能学会統計によれば夜1回排尿に起きる割合は40歳代では男女共に40%で、年齢が高くなると徐々にその頻度は増加し、60歳代で男女共に約80%でした。夜2回以上起きる割合も年齢とともに増え、若干男性のほうが女性より排尿の回数は多い傾向にあるものの、男女共に60歳代では1回だったのが、70歳代では2回、80歳以上では3回以上起きるようになってしまうのです。さらに高齢になると睡眠が浅くなるために途中で起きてしまうことが多くなることもわかっています。起きるから不眠になるのか、不眠のために起きてしまうのかの区別はなかなかつけられませんが、睡眠の問題も含めて夜間頻尿の治療を考える必要があります。

排尿日誌

 いずれの原因でもオシッコが近くなるという症状は同じですが、治療法は全く異なります。夜間オシッコに起きることが気になりだしたら、まず排尿日誌(図3)を付けてみましょう。朝起きてから翌朝起きるまでの丸1日、排尿するごとに計量カップにオシッコを採り、その量を記録します。取手付きの計量コップは100円ショップなどで手に入ります。オシッコをした時刻、その時のオシッコの量をその都度表に書いていただくだけで良いのです。できれば2日間連続して、それができなければ別々の1日でも結構ですから記録してください。症状の頻度や程度、生活への影響などを知ることができます。全てを合計すれば1日の排尿回数と尿量が、記録した時刻から昼間と睡眠中の排尿回数と尿量がわかります。1回ごとの排尿量から膀胱にためられる尿の量と、オシッコがしたいという尿意感覚の程度、そして夜間頻尿が丸1日の尿量が多いためなのか、あるいは夜間のみ多くなっていることなのか、さらに膀胱にためられる尿が少ないためなのか、ある程度判別可能です。その記録した自分のデータを持参していただければ、すぐに治療を開始できますよ。

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 次回は夜間頻尿の治療についてです。

月号より