オシッコが赤い。どうしよう?危険信号?

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 みなさんの笑顔と元気をサポートする「健康ジャーナル」。大森中央泌尿器科・内科・外科クリニック(福島市)の横田崇先生の泌尿器科に関するお話です。
オシッコが赤い。どうしよう?危険信号?
医療法人
大森中央泌尿器科・内科・
外科クリニック
横田崇先生
福島医科大学医学部卒、米国スタンフォード大留学、福島医大泌尿器科講座助教授などを経て2005年、福島市に医療法人大森中央泌尿器科・内科・外科クリニックを開院、福島市医師会理事。
 
 

     

 新しい年度となり、心機一転、勉強や仕事そして趣味など張り切ってやろうと思っている人は多いでしょうね。でもちょっと待ってください。無理は禁物です。無理をすると過剰なストレスが体にかかり、体調を崩すこともありますよ。ストレスは病気を誘発する要因の一つですから、解消する方法も考えながら仕事や勉強に打ち込みましょう。

 さて、今回のテーマは血尿です。オシッコに血液が混じる状態を血尿と呼びます。一口に血尿と言ってもその程度はさまざまで、(1)検診時に行われる試験紙法での尿潜血反応陽性、(2)顕微鏡で見なければわからない程度の血尿、そして(3)自分の目で見てはっきりとわかる肉眼的血尿があり、その程度によって受ける印象や重篤感は全く違います。しかし我々専門医を受診した時に行う検査や考える病気(図1)にそれ程違いはありません。血尿の約90%は泌尿器科疾患が原因で、残りは内科的疾患(肝臓や免疫疾患など)です。血尿は何らかの病気が隠れている危険信号ですが、特発性血尿といって検査をしても原因がわからない血尿もあります。

Ⅰ:血尿の程度

(1)尿潜血反応陽性とは?

 試験紙法は血尿があるのか無いのかを鑑別する簡便な方法です。試験紙を尿に浸しその反応を見る検査で、受けた人の約10%すなわち1000人中100人は陽性反応を示します。その100人のうち実際オシッコに血が混じっている人は2~3人で、残りの97~98人は尿に血液が混じっていなくても尿潜血反応が陽性に出てしまいます。特に男性よりも中年以降の女性ではその割合が高く出ます。尿に血液が混じっていないにもかかわらず、尿潜血反応が陽性に出てしまうのはなぜでしょう。試験紙法は尿中にヘモグロビン(赤血球の主成分)が存在すると、そのヘモグロビンの持つ特殊な作用によって発生する酸素が、試験紙に含まれる無色の還元型原色体を有色の酸化型原色体に変化させるため陽性になります。すなわち、試験紙法による尿潜血反応は赤血球そのものを確認するものではなく、特殊な作用で発生する酸素による変化を検出するもので、酸素が発生するような尿の成分があると陽性に出てしまうことがあるのです。例えば、細菌が混じった尿や尿を取る際に渡したコップにさらし粉などの酸化剤が混じってしまった時、あるいはヘモグロビンに似た物質であるミオグロビンが尿に出ている時などでは、尿中に酸素が発生しやすいので血尿でなくても陽性に出てしまうのです(図2)。ミオグロビンは全身の筋肉に存在し、血液中の酸素を筋肉組織内に運ぶ機能を持っていますが、風邪などの発熱時や激しい運動後などでは筋細胞が壊され筋肉内のミオグロビンが血液中に出てしまい、腎臓でこし取られ尿に混じってしまうことがあります。尿潜血反応が陽性と言われても尿に血液が混じっているとは限りませんが、やはり尿中赤血球を確認する尿沈渣法による顕微鏡検査を行う必要があります。

(2)顕微鏡でしか見えない血尿

 尿潜血反応が陽性だった人が次に受ける検査です。400倍に拡大して見る顕微鏡で赤血球が5個以上見える時に顕微鏡的血尿と診断します。血尿の人がいつでも出血しているとは限りませんので、2~3回確認の検査をします。普通、尿に血液が混じることはありませんので、図1に示すような疾患、主に悪性疾患を疑って検査を進めることになります。超音波検査、CT、MRI、尿細胞診などを駆使して腎臓、膀胱、前立腺などの病気を検索していきます。必要なら尿道からカメラを入れて膀胱内を直接観察することも行います。患者さんにとって痛くない検査から始めますので、安心して受診してください。

(3)目で見てもわかる血尿

 肉眼的血尿と言われるもので、出た人は病気ではないかと不安感に襲われ、すぐに病院に駆け込みたい気持ちになります。しかし痛みや発熱が無く自分で排尿ができていれば緊急性はありません。夜間であった場合は、次の日に専門医療機関を受診しても大丈夫です。1000mlの尿にたった1mlの血液が混じっただけで血尿とわかります(図3)。ただ、血液が混じっていないのに赤く見えてしまう尿もあります。生体内で血液がとけてしまいヘモグロビンが尿に出る血色素尿やポルフィリン尿、ミオグロビン尿(試験紙法のところで説明)、薬(ビタミン剤や漢方薬等)の影響や脱水等の時に出る濃縮尿です。しかし自己判断は禁物です。

Ⅱ:血尿の診断手順(図4)

 血尿を認めた場合、図4に示した手順に従って診断を進めます。肉眼的あるいは顕微鏡的血尿でも、また血尿以外に症状があっても無くても考えられる病気はほとんど同じです(図1)。例えば、むくみやタンパク尿、血圧が高いなどを伴う場合は内科的疾患を疑います。発熱や背中の痛みを訴える場合には尿路結石や腎臓への細菌感染症そして腎尿管の癌を、排尿時の痛みやオシッコが近い場合は膀胱炎や膀胱癌などを疑います。また年齢によっても推定される病気は異なります。子供は内科的な腎臓の炎症性疾患を、40歳までは尿路結石や尿路感染症を、40歳以上では尿路癌を疑います。  血尿は自然に止まってしまうことがありますので、一度でも血尿と言われた人は、毎年検査を受け経過を見ることが大切です。

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 次回は「オシッコがでない、どうしよう」の話です。

月号より