脳卒中について。その8

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 みなさんの笑顔と元気をサポートする「健康ジャーナル」。今回から公立藤田総合病院(国見町)副院長の佐藤昌宏先生が担当します。
脳卒中について。その8
公立藤田総合病院
佐藤昌宏先生
福島県立医科大学医学部大学院卒、医学博士号を取得。同大学附属病院から総合南東北病院、福島赤十字病院、原町市立病院等にて勤務し1996(平成8)年4月から公立藤田総合病院脳神経外科、2008年4月より同病院副院長。専門は脳血管障害の診断と外科治療。日本脳神経外科学会専門医・指導医、福島県立医科大学医学部臨床教授。
 
 

      

 今回も前回に引き続き、脳卒中の予防についてお話します。

 4.予防には「たばこ」をやめる意思を持て

 あらゆる臓器の癌や心筋梗塞の原因となっている喫煙は、実は脳卒中の有意な危険因子となっています。たばこを吸うと血液の粘度が増加して、血液が固まりやすくなります。さらに、血圧を上昇させて動脈硬化を進行させるため、脳梗塞になる確率が増加します。喫煙者は非喫煙者より脳梗塞で約1.6倍、くも膜下出血では約3倍、発症の頻度が高くなるとの統計があります。特に1日20本以上吸う人は、男性では3.2倍、女性では2.3倍、脳梗塞による死亡率が上昇します。これらのリスクは喫煙本数が多いほど大きくなります。さらに、受動喫煙でも心臓病や脳卒中の危険因子となります。喫煙することで自分だけではなく、知らぬ間に大切な家族や友人をも危険に巻き込んでいるのです。百害あって一利なしの喫煙です。当然、寿命は短くなり、生存率も下がります(図1)。

 どうしても禁煙ができない人で一定の条件に合った人に対して、医療保険の対象となった経口薬を使用した禁煙外来を行っている病院やクリニックがあります。禁煙を希望される方は、是非、近くのクリニックにご相談するか、「禁煙外来」で検索してみてください。これは飲み薬を3か月間服用する治療で、禁煙をサポートします。禁煙外来では、医師が喫煙歴をきちんと把握した上で、禁煙補助薬の処方、治療の経過を見守ってくれます。禁煙中の症状(離脱症状)が起こっても診察で相談できるので、うまく続けていくことができます。

 5.アルコール 控えめは薬、過ぎれば毒

 適度にアルコールを飲む人は、全く飲まない人に比べて、脳卒中になる危険性がやや低いという統計があります。ただ、適量を過ぎると、逆に体の毒になり、脳卒中の危険性が高まります。特に、脳出血の危険性が高くなります。アルコールを飲む際には、塩分の多い食物を取りがちになるため、血圧が上昇して、脳出血が増えるという統計があります。
 また、アルコールはカロリーが意外に高いので、飲みすぎると肥満につながります。では、一体どの程度の量が1日の適量でしょうか。ビールなら500ml、日本酒なら1合(180ml)、焼酎なら0.5合、ウイスキーならダブル1杯(60ml)、ワインならグラス2杯(240ml)です。アルコールを飲む際には、食べ物を食べながら飲むことが大切です。さらに、強いお酒は薄めて、遅くても夜12時までには切り上げて、1週間に2回は休肝日を設けましょう。
 アルコールは、飲みすぎると脳卒中の危険性が増し、さらには肝臓を壊しますので、友人や家族と楽しく控えめに飲みましょう。

 6.高すぎる コレステロール も見逃すな

 脳卒中の危険因子の一つ、脂質異常症は、血液中にLDLコレステロール(悪玉)やトリグリセリド(中性脂肪)などの脂肪分が異常に多い状態のことを総称して言います。コレステロールは本来、体に必要な成分ですが、悪玉コレステロールが増えすぎれば、血管の内側に汚れのようにたまっていき、動脈硬化を引き起こしてしまいます。一方、HDLコレステロール(善玉)は、血管についた悪玉コレステロールを除去して、動脈硬化が進行しないように働きます。動脈硬化になると、血管内が狭くなって血液の流れが悪くなり、血管は弾力性を失ってもろくなります。脳卒中や心筋梗塞は動脈硬化が原因となり引き起こされる病気であり、動脈硬化性病変と言います(図2)。
 悪玉コレステロールが高いこと自体には自覚症状はありませんが、放置しておくと動脈硬化が徐々に進行し、動脈硬化性病変を引き起こす危険性が高まります。悪玉コレステロール値が高いなどの脂質異常症は早めに治療しましょう。治療はまず、食生活、運動、飲酒、喫煙などの生活習慣の改善から始めます。それでも悪玉コレステロール値やトリグリセリド値が高い場合は、薬物療法が必要になります。医師に相談しましょう。
 血圧、血糖、コレステロールは相互に関連しているため、全体的に捉えるべきです。若いうちからこれらの値が高い状態が続けば、血管障害の火種が体の中で蓄積していくことになります。どれか一つの値が高ければ、それを適正な値に是正することも大切ですが、例えばコレステロール値だけ下げても血圧が高ければ十分な予防効果が出ませんので、これらを網羅的に管理することで、予防効果が得られると考えるほうが良いでしょう。

 7.お食事の 塩分・脂肪 控えめに

 脳卒中の予防には、食事の内容に注意を払う必要があります。特に、塩分、脂肪の多い食事は、高血圧、高LDLコレステロール血症などの病気を引き起こし、脳卒中のリスクを高める結果となります。まず、塩分ですが、調理する時には味付けが濃くならないようにしましょう。インスタント食品は便利でおいしいのですが、一般に味付けが濃く、多くの塩分が含まれています。食塩の1日の摂取量は健康な人で10g未満、高血圧の人は6g未満を目標にしましょう。また、最近は脂肪の摂取量が増加して、野菜やカルシウムの摂取量が減少しています。野菜は1日350g以上、牛乳や乳製品を130g以上、豆類を100g以上、緑黄色野菜を120g以上摂取して、カルシウムを多く取りましょう。そして、脂肪の1日の摂取エネルギーの総量の25%以下になるように努力しましょう。そのためには、量は少なくても、多くの種類のおかずをバランス良く食べることが大切です。メタボリックシンドロームにならないように、食生活を見直してみましょう。

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 次回も脳卒中の予防についての続きです。

2月号より