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 【 家庭でできる応急処置TOP
平成20年12月5日
永山徹 医師   
乳幼児の頭部外傷の予防と対処法
落下など原因さまざま

 乳幼児の頭部外傷の予防、頭を打った時の注意点と対処法をご紹介します。
 【原因と予防】乳幼児はさまざまな原因で頭を打って病院を受診します。幸いそのほとんどが軽症です。
 詳しく状況を聞いてみると、「落下」が多いようです。ソファから落ちる、祖母や母親の腕の力が抜け「だっこ」から滑り落ちる、片手で持っていたクーファン(ベビーカゴ)のつかみ手がはずれて転がり落ちる、歩行器で玄関まで歩いていって段差の下に落ちる、買い物カートの幼児席から立ち上がって落ちる、1階や2階の出窓に登って壁だと思って網戸を押して落ちる、知らぬ間に階段を上っていって転げ落ちる、自転車の補助いすに乗っていて自転車の転倒や事故で頭を打つ、虐待による外傷などさまざまです。
 一部は重症となる場合もあり、まさに「覆水盆に返らず」、時間はさかのぼってもとには戻せません。これらの状況に潜む危険を察知し、危険を避けることにより、予防の可能性が高くなります。可及的であっても危機管理が必要です。命にかかわるような重症頭部外傷といえば、その原因は、「飛び出し」なども含めた交通事故です。子どものチャイルドシートを正しく装着し、他者の過失による事故も含めた危険を回避するような運転が必要なことはご承知の通りです。
 【対処法】頭部外傷の症状や重症度は「脳の壊れた範囲と場所」が決定します。大きな力が加われば大きく壊れ、生命にかかわります。外力の強さと加わった方向などをよく聴くことにより、頭部も含む全身に加わった損傷の状況が把握でき、画像診断などを総合して治療方針が決まります。
 頭を打った後に注意を要する危険な状態は、「意識がない、トロンとしている・目の動きがおかしい、焦点が合わない・けいれんを起こす・手足の動きが悪い(まひ)・立て続けに吐く・頭の痛みを強く訴える・耳や鼻から出血が止まらない・顔色が悪い、ぐったりとして元気がない・傷から出血している」などです。このような時は病院の受診をお勧めします。もちろん、危急の時はためらわずに「119」番通報です。
 (永山徹・県医師会員)

 



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