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女性の健康と赤ちゃん
本田  任 医師       
【 日本の産科事情 】
女性
医師の減少で危機に

 「少子化」が問題になってもうずいぶんになりますが、世界史上類のないスピードで「少子化」は、確実に進んでいます。政府や県、市町村も遅ればせながら各種対策を、打ち出しつつあります。先日の柳沢厚労相の「産む機械」発言もこの流れの中から出てきたものでした。機械扱いは、論外ですが、出産が女性にしかできないことは、事実ですし、それが人生において最もすばらしい出来事の一つであることも事実です。わたしたち産婦人科医は、そのお手伝いができることを、最大の喜びと感じていますし、誇りに思っております。 
 出産は、大変おめでたいことですが、また危険もはらんでいます。「健常な女性がもっとも死に近づく瞬間」とも言われています。世界中で毎日たくさんの赤ちゃんが誕生していますが、その中のかなりの数の赤ちゃんが、ごく初期の段階で亡くなり、また出産で命を落とすお母さんも少なくありません。日本は、赤ちゃん、お母さんの死亡率とも世界最低レベル、つまり世界最高水準の産科医療を誇っています。昭和25年には、全国で母体死亡は、4000人を越えていました。現在は、その百分の一です。
 ところが、その産科医療が、危機に瀕(ひん)しています。過酷な労働条件、医療訴訟の多さなどから産科医が、減少し、そのため各地で産科施設の閉鎖、閉院が相次いでいるのです。出産する施設が近くにないため、何時間も離れた病院まで行かなければ産めない「お産難民」が出てきています。少子化対策とは、逆行した危機的状況が進行しつつあるのです。わたしたち産科医療に携わるものは、医師をはじめとしてなんとか産科医療の崩壊を防ごうと努力しています。
 今回から9月まで12回シリーズで「元気な赤ちゃんを産むために」というテーマでお送りしますが、単に妊娠中の注意だけでなく、その前の段階の問題、女性の性機能、STD、不妊症、また県内救急システムなど広い範囲でお伝えしてまいります。わたしを含めて、5人の医師による分担執筆となります。ぜひお読みになり、お産について考えてみてください。(県医師会員)

 



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