健康支えるホルモン分泌
卵巣は子宮の左右にあり、そら豆ぐらいの大きさです。思春期になると、卵巣から女性ホルモンが出て、からだや心は『女の子から大人の女性へ』と大きく変化します。女性ホルモンには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモンの二種類があり、この二つのホルモンが子宮に作用し月経が始まります。
月経が開始してしばらくすると卵巣からはひと月に一回、卵子が出てくるようになります。これを排卵といいますが、排卵は赤ちゃんを産むための第一歩ともいえます。
このように女性ホルモンは妊娠出産に大切な働きをしていますが、中でもエストロゲンは特に女性の一生の健康を支えているホルモンです。
エストロゲンは子宮に働くだけでなく、コレステロールを減らし、動脈硬化を防ぐ働きがあります。四十歳までで比較すると、心筋梗塞などの死亡率が女性は男性の4分の一ぐらいです。また骨がもろくなるのを防ぐ役割もしています。皮ふではコラーゲンを作り出す作用にも深くかかわっており、肌の張りやつや、みずみずしさを保つことを助けています。さらに感情と記憶にも関与していることがわかっていて、アルツハイマー病との関連もいわれています。
このようにエストロゲンは女性のからだや心のいろいろなところに働いているので、閉経期に急激にホルモン量が減ると、さまざまな症状がでてくるのです。これを更年期症状といいます。言い換えると女性は赤ちゃんを産める時期は、エストロゲンにより守られているということもできます。
卵巣からホルモンが出るためには、脳からの指令を受ける必要があります。また卵巣から出たホルモンが脳からの指令をコントロールするという仕組みがあります。この仕組みがうまく働くことが大切なのですが、例えば、極端なダイエットにより体重が急に減ったり、あるいは急に太ったり、精神的なショックを受けたりするとバランスが崩れてしまうことがありますので、注意が必要です。(県医師会員)