夫婦一緒の検査が大事
不妊症とは、避妊せずに2年間妊娠しない状態をいいます。不妊夫婦は最近増加傾向にあり、約7組に1組の夫婦にみられます。
不妊症の原因は非常に複雑ですが、その割合は夫が50%、妻が50%と半々のため、夫婦一緒の検査が大事です。女性で多いのは卵子の通り道となる卵管のトラブルです。最近は、卵管に障害が起きるクラミジアなどの性行為感染症や、子宮内膜症にかかる女性の割合が増えているので、不妊夫婦が増加する一因になっています。
不妊症の検査は超音波などの一般検査や、卵管の通り具合を診るレントゲン検査、ホルモンなどを調べる採血検査、夫の精液検査などがあります。思わぬ遠回りをしないためにも、最初から一通りの検査を受けたほうがよいでしょう。
治療は大きく3段階に分けられます。まず、検査で排卵日を予測して夫婦生活を行うタイミング治療が一般的です。精子に問題があったり、タイミング治療で妊娠しない場合は人工授精を行います。人工授精は濃縮した精子を子宮に注入する治療法です。人工授精でも妊娠しない場合や、卵管にトラブルがあったり、精子が極端に悪い時には体外受精などのART(アート)を行います。ARTには精子と卵子を一緒に体外培養して自然に受精させる体外受精と、ガラスの針で卵子に精子を注入する顕微授精、一度凍結した受精卵を最適な時期に解凍して子宮に移植する凍結胚移植などがあります。
余談ですが、よくニュースでも「人工授精」と「体外受精」が混同されて用いられることがあります。体外受精は卵子を一度体の外に取り出してから治療を行う、という点で他の治療法と大きく異なりますので、高度生殖医療と呼ばれます。
不妊治療には年齢の影響も大きく、38歳を超えると年々妊娠率が低下していきます。自分の体のことをよく知るためにも早めの産婦人科受診がお勧めです。また、近々結婚を控えている方も女性検診としての「ブライダルチェック」がお勧めです。(県医師会員)