世界に誇るシステム
妊娠?と思ったら産婦人科を受診(最近は、その前にご自分の尿でチェックされてくる方も多いようです)、妊娠の診断を受ける。その後何度かの診察を経て、経過が順調であれば、市町村役場で母子健康手帳(以下母子手帳)の交付を受け、以後妊婦定期健診(以下妊婦健診)に通院、病院で出産する。
これは、ごく普通の妊婦さんのたどる経過ですね。この、日本では当たり前に行われていることが、実は、世界に誇るすばらしいシステムなのです。
母子手帳の歴史は、戦前の1937年にさかのぼります。この年、母子手帳の根拠法令となる母子保健法が制定され、42年、国による妊産婦手帳制度が発足しました。これは、戦時体制下の人口増加策の一環でしたが、目的はともかく出産、保育の環境が整備されたのは、事実です。
その後、この法律も何度か改正され、91年からは、母子手帳も市町村交付となっています。母子手帳には、妊娠中のお母さんの健康状態、赤ちゃんの出産時の記録、その後の予防接種や成長の記録などが記入され、母子の健康への貢献大と海外でも高い評価を受けているのです。
妊婦健診では、初期に貧血、感染症などの検査を受け、前半期は、4週に1回、24週からは、2週に1回、36週より週に1回病院に通い、体重、血圧、尿検査、数度の血液検査そして最近ではほとんど毎回超音波検査が行われます。
この間、異常が見つかった場合は、指導や治療が行われ、またより高度の医療が必要とされる方は、2次、3次の病院へ紹介されます。こうしたシステムが全国的に普及整備されてきたため、世界最高水準の産科医療が成り立ってきたのです。行政、医師、助産師はじめ多くの関係者の努力の結果です。
最近は、少子化対策の一環として健診への補助金交付の回数も増えてきています。(2回から15回まで市町村によってかなりの違いがあります)妊娠?と思ったら早めに産婦人科を受診し、母子手帳の交付を受け、安全なお産のため、元気な赤ちゃんを産むためにも妊婦健診をきちんと受けましょう。
(県医師会員)