早産や発育障害も
さて、今回は妊娠中の生活で気をつけた方がよいことのお話をします。
■妊娠と体重増加
妊娠期に体重増加量が著しい場合は、帝王切開分娩(ぶんべん)になる割合が増えたり分娩時に出血量が多くなったりするリスクが高まるといわれています。逆に、妊娠する前にやせた妊婦さんが妊娠中ほとんど体重が増えない場合には、低出生体重児(出生時体重2500グラム未満の児)や早産のリスクが高まります。適切な体重増加が大切です。
■妊娠と喫煙
一般的に喫煙妊婦から生まれた児の体重は非喫煙妊婦に比べて約200グラム軽く、低出生体重児の割合は2倍以上高いと報告されています。早産もおおむね1.5倍多くなります。原因はたばこの煙中に含まれるニコチンと一酸化炭素によって、胎児の低酸素状態が、発育障害を引き起こすと推察されています。
だから周囲の喫煙も、受動喫煙というもので影響があります。今妊娠してまだたばこをやめられないお母さん。妊娠中でも3〜4カ月までに禁煙すれば妊娠に対する危険度は、非喫煙者のレベルに近づきます。今からでも禁煙しましょう。 またたばこの本数が多いほど悪影響が増えるので、1本でも減らす努力をしましょう。授乳中はニコチンが母乳中に、母親の血液中の3倍の濃度で移行します。つまりお母さんが1本吸うと赤ちゃんは3本吸ったことになります。そのため1日20本以上吸う母親の母乳を飲んでいた赤ちゃんが、ニコチン中毒症状を起こした報告もあります。
■妊娠とアルコール
妊娠中にお酒を飲むと、アルコールが胎盤を通過し、胎児に影響をおよぼします。ごく少量なら問題はありませんが、どの程度まで大丈夫かはわかっていませんので、妊娠中は、お酒は控えるのが原則と考えるべきです。また時々、妊娠に気づかずお酒を飲んでしまって赤ちゃんが心配、と相談を受けますが、極めて妊娠初期に特定の日にだけ飲酒した場合、胎児に問題はありません。このことによって妊娠中絶を行う必要はありません。でも懲りずに何度も飲酒を繰り返すと危険なのは当然です。
(県医師会員)