皮膚が黄色に見える状態
黄疸(おうだん)とは、血液中にビリルビンが増加して脂肪組織に沈着し、皮膚、眼球結膜、その他の組織が黄色に染まって見える状態です。ビリルビンが増加した高ビリルビン血症には、くすんだ褐色調の黄疸が見られる直接型と、明るい黄色調を呈する間接型があります。
新生児期によく見られる黄疸は、生理的黄疸で生後2〜3日から始まり4〜5日ごろ最も強くなり、7日以降に自然に消失します。
新生児期の病的と考えられるのは、早期つまり生後24時間以内に出現する早発性黄疸、急速なビリルビン値の上昇、異常に高くなるビリルビン血症、直接型ビリルビンの上昇、そして生理的黄疸の期間を超えて長引く場合です。
新生児黄疸ではビリルビン脳症(核黄疸)の予防が最も重要です。核黄疸とは、間接型高ビリルビン血症が原因で、脳神経核がビリルビンにより黄色に染まった状態です。起こりやすい因子として、溶血性疾患、低体温、仮死、アシドーシス、低血糖、低酸素血症、感染症などがあります。早発性黄疸の代表的なものは、Rh式・ABO式血液型の母児間不適合による溶血性黄疸です。トキソプラズマ、風疹(ふうしん)、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス、EBウイルス、梅毒の胎内感染および出生後の水平感染により、新生児肝炎様症状を呈することがあります。
生後2週間以上続く黄疸は、間接型ビリルビンが増加する母乳性黄疸が最も多く、48時間程度の母乳の中止によって改善しますが、生後2カ月ごろには自然に消失します。直接型ビリルビンが増加している場合は、まず先天性胆道閉鎖症を疑い、さらに肝疾患、感染症、代謝性疾患が隠れていることもあります。
なお、カロテンを多く含むミカン、ニンジンなどを大量に食べると、増加した血中カロテンが手のひらや足底に沈着し、皮膚色が黄色やだいだい色になることがあります。これは柑(かん)皮症といい黄疸ではありません。赤ちゃんの皮膚が黄色や黄褐色に見えて不安になる時は、先生に診ていただきましょう。(県医師会員)