【起き上がり小法師】〔田村・葛尾電子工業〕安否確認の電話開発

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「被災地から新たな製品を発信していきたい」と話す松本社長

 葛尾電子工業は、葛尾村で電子部品の製造やシステム開発を手掛けていた。東京電力福島第1原発事故で村は全村避難を余儀なくされたが、受注していた仕事をこなすため操業を続けた。「村では携帯電話も通じなくなった。隣の田村市まで行って打ち合わせの電話をしていた」。松本貞幸社長(64)は当時の混乱を振り返る。

 約2カ月、避難先から通える従業員らで操業を続けた後、田村市常葉町に工場を移転した。しかし、震災後は風評などもあり、受注は大きく減少した。そのため、自ら仕事を生み出そうと自社製品の開発に着手。高齢者世帯の安否確認ができる電話機「在宅見守りコールシステム」を作り上げ、間もなく販売を開始する。

 松本社長は「震災後は若い世代と離れ離れになった高齢者世帯が増えている。安否確認の必要性が高まっている」と同製品開発の背景を語る。

 同社は来年にも、村に隣接する同市船引町移地区で新たな工場を稼働する。従業員の多くが同市に住んでいるため村に戻ることは難しい状況にある。松本社長は「ここなら葛尾の雇用にもつなげられる。被災地から製品を発信していきたい」と村復興に貢献していく考えだ。

 松本社長は「再開事業者への補助金制度は規定が厳しい。もう少し緩めてほしい」と行政に注文する。仕事用の車の購入費用として申請しても、私用でも使えるようなものなので補助が下りにくいことがあるという。