地盤固め臨戦態勢、衆院選の準備加速 福島1、2、5区陣営

 

 安倍晋三首相が25日にも衆院解散の意向を表明する。県内5小選挙区は区割り変更後初の選挙となる3、4区のほか1、2、5区も構図が固まってきた。(文中敬称略)

 ◆5区

 「解散前夜」に選挙戦の構図が見えてきた。24日、民進、社民両党で立候補予定者が固まった。

 復興相の吉野正芳(自民)は現職閣僚として衆院解散に臨む。陣営は保守分裂のいわき市長選から3週間弱での解散の影響を懸念。ある自民党員から「感情の整理は簡単ではない」との声も漏れ、自民支持層などの一本化に注力する。

 7月に比例東北で繰り上げ当選した吉田泉(民進)は国政復帰から2カ月余りでの選挙戦。当初は出馬に消極的で新人擁立を進めたが、党員や支援団体の要請を受け翻意。陣営は既存の選挙組織を軸に態勢づくりを急ぐ。

 24日に政界引退を表明した元経産副大臣坂本剛二の周辺が慌ただしさを増す。連合後援会は県議の長男竜太郎の擁立を模索、動向次第で保守分裂の激戦が予想される。

 熊谷智(共産)は知名度向上をと各地で街頭演説を行う戦略だ。

 24日に擁立が決定した遠藤陽子(社民)は党員らが選挙準備に着手した。

 ◆1区

 前回衆院選で10万2950票を獲得し当選した亀岡偉民(自民)と、亀岡に5千票差まで肉薄し比例復活当選した金子恵美(民進)が相対する。有権者の半数以上を占める福島市の市長選を巡る動向などが支持構図に複雑に絡み合う。

 各陣営が影響を見据えるのが11月19日投開票の福島市長選だ。現職と新人2人の計3人が立候補を決めているが、保守勢力の対応が割れるなど、各陣営は影響を注視する。ある陣営幹部は「議員が市長選の対応で手いっぱいという懸念もある」と不安を漏らす。

 福島市議らの対応が気になる中、亀岡は選対本部構築に奔走、後援会幹部会を開き、臨戦態勢を敷いた。

 金子は地元の伊達市や国見町の行事を精力的に回ったほか、後援会の会合に臨み、地盤固めを進めた。

 斎藤朝興(共産)は地元の福島市を中心に街頭宣伝活動を重点的に行い、無党派層などに広く支持を訴えている。

 ◆2区

 前回と同じ顔ぶれの3人が商都・郡山を中心に選対の準備を加速させる。

 根本匠(自民)の後援会幹部は「前回圧勝した選挙とは状況が違う。危機感を持って準備を進める」と引き締めを図る。急ごしらえでの実戦入りが予想されるだけに、低迷が続く投票率の動向を注視。今後は緊急の拡大役員会の開催など選挙戦に向けた態勢づくりや対応を本格化させる。

 岡部光規(民進)は支援者へのあいさつ回りや座談会に出席するなど精力的に動き、認知度アップに奔走する。後援会の組織づくりに力を注ぎ、足元固めに躍起だ。陣営は離党者が相次ぐなど党に逆風が吹く現状を踏まえ「組織づくりを進め、一致団結して選挙に臨む」と士気を高める。

 平善彦(共産)は昨年12月の党県委員会の擁立発表以来、街頭活動などで支持拡大に注力。陣営は「市民からの声も届く」と話す。