衆院選、福島県内も準備加速 短期決戦を見据え緊張感高まる

 

 10日公示、22日投開票の衆院選に向け、県内5小選挙区に立候補を予定する各陣営の関係者や政党幹部は30日、目まぐるしく変化する野党再編の動きをにらみながら選挙戦の準備を加速させた。短期決戦を見据え、関係者の緊張感は刻一刻と高まる。(敬称略)

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 「福島でも野党に風が吹き、厳しい選挙になる。しかし、劇場型の選挙の中で復興施策がかすんでしまうかは、われわれの戦いに懸かっている」。党本部で開かれた自民党全国幹事長会議終了後、県連幹事長の吉田栄光は語気を強めた。

 双葉郡選出の県議の吉田は東日本大震災、東京電力福島第1原発事故の発生時、民主党政権の中で進められた復興政策に、歯がゆい思いをした記憶を忘れていない。「劇場型選挙で挑んでくる野党に福島の復興を任せることはできない」。吉田は1日に福島市で開く県連の支部長・幹事長会議で安倍総裁の方針を伝える。

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 「二大政党制による政権交代の実現という原点をわれわれは忘れかけていた。前原代表の言葉だけで十分。その理念を福島で実現させたい」。民進党県連幹事長の亀岡義尚は党全国幹事長会議の冒頭で前原代表の演説を聴くと、質疑を待たずに会場を飛び出した。

 県連は党都道府県連に先駆ける形で、新党「希望の党」の公認候補を支援する方針を決めた。

 亀岡の言葉には新党合流への高揚感と政権交代への強い意欲がにじむ。「玄葉光一郎県連代表を信じてやるだけだ」。玄葉が担う合併協議の行方を信じ、帰路を急いだ。

 民進系候補、焦りの色

 一方、県内小選挙区に立候補を予定する民進系の陣営は野党再編の動きを受け、ポスターやチラシ、はがきなどを発注できず、焦りを募らせる。「ポスターなどの作成に必要な時間を考えると、4日くらいまでには公認がほしい」。ある陣営の担当者は漏らした。

 別の陣営は解散後、前原代表と立候補予定者の顔写真が写ったポスターを張り出す予定だったが、取りやめた。民進党と書かれた公報カーの看板は白塗りに変更。どの陣営も新党の公認が決まり次第、迅速に対応できるよう、最大限の努力を続ける。立候補予定者の一人は「希望の党に公認申請する。ただ、公認申請の書類がいつ来るかは分からない」と話した。