福島1区、一騎打ち「与党VS野党共闘」 福島県対決構図固まる

 

 10日公示、22日投開票の衆院選で、共産党県委員会は5日、福島1区の党公認候補としていた新人の斎藤朝興氏(74)の擁立を取り下げると発表した。民進、社民両県連と協議を進めてきた候補者の一本化に合意、無所属で出馬する民進党前職の金子恵美氏(52)を支援する。流動的だった1区が金子氏と、公明党が支援する自民党前職の亀岡偉民氏(62)による一騎打ちとなる公算が大きく、注目の選挙区となった。県内全5小選挙区の構図は、ほぼ固まった。

 県内5小選挙区の立候補者は2014(平成26)年12月の前回選挙より1人多い17人となる見通し。2区は自民前職に希望、共産、維新の新人3人が挑む。3区は民進党系無所属の牙城に自民、共産の新人2人が切り崩しを狙う。4区と5区はいずれも自民と希望の前職2人に加え、共産、社民の新人2人が立候補を予定。共産、社民は反安保法制、護憲で一致する1区については金子氏を支援するが、希望の候補者がいる選挙区では共闘を見送る。5区では自民県議が出馬を模索していたが、5日に断念することを発表した。

 安保、改憲反対で一致

 共産党県委員会の久保田仁委員長は5日、県庁で記者会見し、擁立取り下げについて「安保法制、憲法改正反対という共闘の大事な部分で一致できると判断した。市民と野党の共闘で議席を勝ち取る」と述べた。

 党としての推薦や支持はせず、金子恵美氏の街頭演説などで安保法制・憲法改正反対を合同で訴えていく考えだ。政策面で共通する市民団体「ふくしま県市民連合」も協力する方向だ。

 一方、野党共闘を模索してきた社民党と候補者が競合する4、5区について久保田委員長は「努力していきたいが、時間的制約もある」と述べるにとどめた。

 前回・共産1万6000票獲得

 2014年12月14日投開票で行われた前回衆院選では、自民の亀岡偉民氏に民主党新人の金子恵美氏と共産党新人の3人が出馬した。

 10万2950票を獲得し3度目の当選を果たした亀岡氏に対し、金子氏は5307票差まで肉薄して比例復活当選した。

 元参院議員の金子氏は、定数が1に削減された13年7月の参院選福島選挙区で自民党の森雅子氏に敗れ落選。その翌年、衆院に舞台を変えた。

 亀岡氏との対決は次で2度目となるが、戦いの構図は変わる。

 前回は共産党候補が約1万6000票を集めた。今回の野党再編の激しい動きが有権者にどう受け止められているのかも含め、無党派層の動向が鍵を握りそうだ。