「ネット選挙」盛り上げ腐心 福島県内の候補者、活用手探り

 
インターネットの選挙利用は浸透が進んでいないのが現状だ。写真は県選管のホームページ

 22日投開票の第48回衆院選は選挙戦中盤に入り、各候補者の訴えが過熱している。一方で、活用に向けた手探りが続いているのが、2013(平成25)年の参院選から始まったインターネットの選挙利用。多くの候補者が自前のホームページ(HP)などを用意しているが、総務省の調査によるとインターネットからの情報で投票先を決める有権者は全体の1割程度とみられ、浸透はこれからのようだ。

 福島県内の5小選挙区の立候補者は全員が県選管に政党や個人HPを届け出たが、利用にはばらつきがある。個人ページは遊説日程の告知や、活動の写真が中心で、一部の候補者は街頭演説の様子を動画で公開している。公示前から更新が滞っている候補者もいる。

 いずれも政見は掲載しているが、有権者が比較するには各候補のページを見比べなければならない。

 一方でネット内には各候補に対する情報が多く出回っているのも現状。中には、真偽不明の情報もある。有権者の判断に影響する可能性もあり、今後のネット選挙の課題となりそうだ。

 総務省が14年3月に公表した、ネット選挙に関する調査結果によると、13年の参院選でネット情報を実際に参考にした人は1割程度だった。報告書で「有権者全般の盛り上がりはあまり見られなかった」「一方通行の情報発信となってしまっている」などと分析したが、その後は調査自体が行われていない。

 分かりにくい制度

 投票率向上や若者の政治参加を促そうと解禁されたネット選挙だが、電子メールで禁止されている特定候補者への投票の呼び掛けが無料通信アプリLINE(ライン)では可能な点など、制度の分かりにくさが指摘されている。しかし、解禁後の見直しの動きはなく、課題は棚上げされたままだ。

 改正公選法によると、候補者はブログや会員制交流サイト(SNS)に文章や写真、動画を掲載できる。受信者の同意が必要など条件付きだがメールも使える。

 一方、候補者でない18歳以上の有権者が、応援する候補者への投票を友人らにお願いする際には、LINEやツイッターは使えるがメールは禁止されている。

 公選法のガイドラインは、メールは誹謗(ひぼう)中傷やなりすましに悪用されやすいことを禁止の理由としている。しかし、なりすましはSNSでも問題となっており、説得力は弱い。

 総務省の担当者は「制度に分かりにくさがあるという指摘は理解する」としつつ、改正公選法が議員立法だった点を挙げ「検証や改善は、まずは国会議員による各党協議会が検討するものと考えている」としている。