【コラム】WALK TO THE DREAM-11 地域巻き込む世界観を

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 いわきスポーツクラブ 大倉智社長

 ◆アカデミー

 われわれが掲げるビジョンに人材教育と育成がある。今年は「いわきFCアカデミー」を立ち上げた。昨年セレクションした中学1年生のチーム(いわきFC U―15)は4月に動きだした。6月(予定)にはU―18(高校生年代)のセレクションもやる。2020年には六つのカテゴリーがそろう構想だ。

 U―18は本来、昨年立ち上げようとしたが、セレクションの時期が少し遅く、いい選手はもう県外行きが決まっていた。そこでセレクションすると、残る選手をさらに奪ってしまう。そうなると高校のサッカー部が成立しなくなるという議論になって、見送った経緯がある。

 中学生でアカデミーに所属し、高校を卒業してトップチームに入り、そこから3年。この辺りで選手としても脂がのってくる。技術を磨き、人として成長し、一人前になるにはやはり10年はかかる。これは湘南ベルマーレでも経験しているからはっきり言える。そのサイクルができる10年後からは必ず、毎年いい選手が出てくる。

 アカデミーが地域にもたらす効果もある。U―15からU―18に上がるときにもセレクションはある。当然、U―15の選手もふるいに掛ける。U―18に上がれなかった子どもが、地元の高校に進むことで、地域の高体連のレベルアップにつながるはずだ。いわきの高校が高校サッカー選手権の常連校になればさらに盛り上がり、そこにサッカーへの地元のロイヤリティー(愛着)が絶対生まれる。

 いわきFC出身の子どもたちが高校サッカーで活躍し、大学で経験を積んだ後にいわきFCに戻ってくる、そういう地域を巻き込んだ世界観をイメージしている。優秀な人材が県外に出ていかないようにするのも、われわれの存在意義だ。

おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、一昨年12月から現職。47歳。