台風の突風か竜巻か... 浪江の住宅被害、原因は特定できず

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 
突風か竜巻とみられる現象で倒壊した建物=25日、浪江町川添字小丸田

 浪江町川添地区で22日に確認された建物倒壊などの風による甚大な被害。福島地方気象台は現地に職員を派遣して調査したが、現場が原発事故に伴う居住制限区域で、住民による目撃情報が得られないなどの理由から25日、「原因の特定に至らなかった」と発表した。一方で、独自の観測データを有する専門家は「竜巻が発生した可能性が高い」と指摘する。仮に竜巻による住宅被害となれば統計が残る1965(昭和40)年以降、初の事態となる。気象台は引き続き調査を続ける。

 現場は、JR常磐線浪江駅から西に約1キロ離れた地区。民家が点在し、以前は田んぼや畑だった荒れ地が広がっている。被害は南東から北西にかけて長さ約1キロ、幅10~15メートルにわたって帯状に確認された。2階部分が吹き飛ばされるなど民家3棟が大規模な被害を受け、プレハブなどと合わせて約10棟が被害に遭った。一時帰宅した住民が発見したが、当時は人がいなかったため人的被害はなかった。

 22~23日にかけて県内を通過した台風9号の突風か、竜巻の影響か。気象台は24日に現地に入り調査を開始。特定するための情報が不足したため、風の強さについても「不明」とするしかなかった。気象台は「積乱雲の形や帯状に広がる被害分布など竜巻の要素は見受けられるが、竜巻だと特定できる情報が得られなかった」と説明する。

 竜巻の可能性を指摘するのは、気象学が専門の渡辺明福島大名誉教授。渡辺氏は「現地の映像を見ると被害状況が一方向ではなく多方向に広がっている。研究室のレーダーで雲の動きを観測したところ、渦をつくる状況が確認できた。この2点から竜巻が発生した可能性が高い」と指摘する。

 さらに近年、海水温が上昇傾向にあることから「積乱雲が発達しやすいため(県内でも)竜巻には注意が必要」と述べた。

 気象庁によると、県内で竜巻が確認されたのは2012年5月の会津美里町。ビニールハウスが壊れる被害があった。それ以前は1987年の福島市までさかのぼる。県災害対策課によると、65年以降、竜巻で住宅が被害を受けた記録はない。

民友セレクション