遮水効果明示が鍵、凍土壁進行に正念場 東電、9月後半に評価

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 東京電力は、福島第1原発の汚染水対策の切り札「凍土遮水壁」について、遮水効果を9月後半にまとめる。しかし、3段階に分けて全面凍結させる計画のうち、7月までに建屋海側(東側)全体と山側(西側)95%の凍結が完了する予定だった第1段階は、いまだ一部に未凍結の部分があり、原子力規制委員会の外部有識者からは「破綻している」と厳しい指摘が出ている。計画を第2段階に進めるためには規制委の認可が必要で、東電が明確な遮水効果を示すことができるか、この1カ月が正念場だ。

 ◆◇◇海側残り1%

 「遮水能力が高いというのはほとんど破綻している」。18日に都内で開かれた規制委の会合で、外部有識者を務める首都大東京大学院教授の橘高義典氏は、東電が凍土壁を採用した理由を痛烈に批判した。

 東電によると、延長690メートルにわたり深さ30メートルの氷の壁を造る建屋海側は16日現在、約5千の温度計の測定で99%が氷点下となっていることが確認された。残り1%の未凍結部分は、原発建設時に埋め戻した拳大の石などがあることに加え、地下水の流れが速いため凍りにくくなっている。結果、1%の未凍結部分から大量の地下水が護岸へ流れ、遮水効果の目安となる護岸での地下水くみ上げ量に明確な変化が見られない。

 それでも東電は、護岸での地下水くみ上げ量は徐々に減っていると効果を強調したが、橘高氏は「短絡的な説明」と切り捨てた。

 ◇◆◇一筋の望み

 検討会合では、時間をかけて凍土壁の効果を見極めるべきとする意見もあった。東京大大学院教授の徳永朋祥氏は効果について「まだ分からない」とし、未凍結部分で実施されている追加工事に期待を残した。

 凍りにくい部分があることは想定済みという東電は6月から、未凍結部分の地盤にセメント材を注入して地下水の流速を下げ、凍結を促す追加工事を続けている。海側全体の凍結に約3カ月の遅れが生じているものの、追加工事の効果で未凍結部分は3%から1%まで縮小した。

 徳永氏は、追加工事で「地中温度の低下幅が大きくなっている。未凍結部分を凍結できれば、東電が期待する効果が出てくるのではないか」とする。ただ、低下傾向の弱い部分について「どんな対策をするから、今後凍結が期待できるという説明が欠けている」と指摘、東電に丁寧な説明を注文した。

 ◇◇◆猶予1カ月

 凍土壁の効果を巡る議論が過熱する中、東電福島第1廃炉推進カンパニーの増田尚宏最高責任者は25日の会見で「あと1カ月見守ってもらえれば、凍土壁がもくろみ通りなのか、そうでないのか評価できると思う」と猶予を求めた。

 9月半ばに追加工事を終え、あと1カ月で海側を凍結しきれるとの増田氏の見込み通り、遮水効果が発揮できれば、規制委の認可を得て山側の残り5%の凍結を進め、汚染水の発生量を抜本的に減らせる見通しが立ってくる。一方、遮水効果が期待できない場合、コンクリートの壁で凍土壁を補完したり、建屋周辺での地下水くみ上げ能力を強化するなど、新たな対策が求められそうだ。

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