「エゴマ栽培」若手奮闘 福島県鮫川村に縁、茨城から移住

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鮫川村でエゴマ栽培に取り組む伊藤さん

 健康食品として注目を集める鮫川村特産のエゴマの栽培に、県外から移住した若者が取り組んでいる。同村では、一般的な野菜より収益が少ないエゴマを栽培する若手農業者が少なく、生産量が需要に追い付かないのが現状。伊藤真之さん(30)=川崎市出身=は特産品栽培で地域おこしに貢献しようと、エゴマ栽培に精を出している。

 「自分を受け入れてくれた鮫川村に恩返ししたい」。伊藤さんは日大在学中に1年休学、農村ボランティアとして同村で過ごし農業や村の行事に参加してきた。大学卒業後に茨城県の農業法人に就職したが独立を考えていた昨年4月、親交のあった同村職員の仲介で同村に住宅と農地が見つかった。川崎市に農地を探すという選択肢もあったが「鮫川の人に成長した姿を見せたい」と移住を決心した。

 同村では、村商工会に事務局を置く特産さめがわ合同会社がエゴマ全量を買い取り、エゴマ油やドレッシングなどに加工して生産を後押ししている。生産量は、原発事故後の風評被害もあり2014(平成26)年に1041キロまで落ち込んだが、健康食品として注目を集めたことで、15年は2706キロまで伸び、震災前の水準を超えた。ただ、需要の伸びはそれ以上。全国的なブームで今年4月以降、エゴマが品薄となり、通販など村外からの注文に対応できない状況が続いている。

 村によると、エゴマは高齢者でも育てやすい一方、キャベツなどほかの農産物と比べて栽培面積当たりの収益が少なく、若手農業者には敬遠されがちという。村商工会の担当者は「生産量を伸ばすといっても、若者の力がなければ限界がある」と頭を抱える。

 伊藤さんは、主な収入源としてキャベツやダイズを生産する傍ら、エゴマ栽培に取り組む。昨年も自宅近くの10アールで栽培したが、今年は50アールに増やした。秋の収穫期まで苦労が続くが「特産品を活用した村おこしの力になりたい」と力を入れる。50アールの畑からは約400キロを収穫できる見込み。村商工会の関係者は「伊藤さんの取り組みが、ほかの若手農業者にも波及してほしい」と期待を込める。

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