鶴橋監督「人間の滑稽さ、笑い飛ばして」 映画「後妻業の女」

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映画「後妻業の女」より(C)2016「後妻業の女」製作委員会

 現在公開中の映画「後妻業の女」は、高齢者の後妻に入り、だまして遺産をせしめる「後妻業」と、愛と金のドラマだ。直木賞作家黒川博行さんの原作をコミカルに脚色、演出した鶴橋康夫監督は「この映画で人間の滑稽さを笑い飛ばしてくれれば」と話す。

 黒川作品はほぼ読破するほどのファン。原作の「後妻業」を読み「人生は選ばれる快感、選ばれない絶望の連続。しかし、人生の果てに選ばれたいと願う高齢者がいかに多いか。『後妻業』というのもなるほどと思った」と振り返る。

 同時に、原作の1~2ページ目だけで、主演2人の配役が浮かんだという。その一人、後妻業のエース小夜子は大竹しのぶだった。「大竹さんに演じてほしくて、ラブレターのつもりで脚本を書いた。彼女は天才であり怪物。他の人ではできなかった」。大竹は、後妻業の女としての生き様を自然体で演じ、唯一無二の小夜子を作り上げた。

 一方、小夜子と組む結婚相談所所長・柏木には豊川悦司を起用した。「自分をビンタして失神する」「鏡を見てニッと笑う」―一見色気のある男だが臆病な役柄を豊川も気に入ったという。「2人とも知的かつ暴力的な芝居ができる。エロチックなコンビが夫婦漫才のように掛け合いをすれば、大人のコメディーが作れると思った」

 劇中では、大阪を舞台にアクの強いキャラクターたちが次々と現れ、本性をさらけ出してぶつかり合う。しかし鶴橋監督がそこで描きたかったのは、暴力性ではなく喜劇だという。

 「登場する高齢者たちも、彼らを取り巻く人たちもみんな滑稽で、悲劇的で、もろい。愛おしき人間たちを見ながら、それを笑い飛ばしてほしい」

 つるはし・やすお 1940(昭和15)年生まれ、新潟県出身。60年代からドラマ演出を中心に活動。2007年に紫綬褒章、13年に旭日小綬章受章。監督映画作品に「愛の流刑地」(07年)、「源氏物語―千年の謎―」(11年)。

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