セシウム分析、原発事故実態迫る 廃炉方法ヒントに、福岡で原子力学会開幕

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 日本原子力学会の本年度「秋の大会」は7日、福岡県の久留米市で開幕した。初日の分科会では、東京電力福島第1原発事故で環境中に放出されたセシウムを含む放射性粒子の成分の分析を通じ「物証」から事故の実態に迫ろうとする発表が相次いだ。

 九州大大学院の宇都宮聡准教授(環境ナノ物質化学)は「放射性セシウムはほかの核燃料に含まれていた物質と一緒に溶け落ち、原子炉格納容器の下にあるコンクリートと反応した可能性がある」と指摘した。大会は9日まで。

  宇都宮准教授らの研究グループは、東京都や大熊町の大気や土壌から採取した粒子構造を分析。それぞれの粒子の形や元素成分は異なるものの、セシウムが鉄や亜鉛などのナノ粒子と強く結び付いている共通点があり、さらにその粒子はガラス状のケイ素と結び付いていることを発見した。

 宇都宮准教授は、この構造は〈1〉原子炉圧力容器内で溶けた燃料にはセシウムやほかの物質が含まれていた〈2〉溶けた燃料が鋼鉄製の圧力容器を貫通する際に鉄などと結び付いた〈3〉さらに格納容器も突き抜けた燃料がコンクリートと反応しケイ素と結び付いた―という化学反応があったことを示すと指摘する。

 セシウム粒子の研究は、日本原子力研究開発機構(JAEA)も注目しており、廃炉国際共同研究センターの佐藤志彦さんは「分析で事故の進み方が分かれば、内部の状況が分からない原子炉建屋の廃炉の方法のヒントになる」と指摘する。

 佐藤さんは7日の発表で事故を起こした各号機から出た粒子に特徴があるとの見方を示した。

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