「小高メダカ」復活!津波跡の環境に変化 外来種の流入に課題

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津波跡にできた湿地で見られる魚やエビの仲間=南相馬市小高区

 東日本大震災から5年6カ月を迎え、津波被害を受けた南相馬市小高区の沿岸部の湿地や水路に、在来種のメダカが戻って分布を広げていることが10日までに研究者の調査で分かった。一方、震災前は確認されていなかった外来種とみられるエビの仲間や観賞用のメダカなどが生息していることも判明。研究者は、地域にとって大事な生き物を住民らに知ってもらい、従来の水辺の環境を取り戻す必要性を訴えている。

 震災前、南相馬市沿岸部には在来メダカの生息地が多数あったが、ほぼ全てが津波の被害を受けた。震災の2カ月後から被災地の生物調査を続けている同市博物館学芸員の稲葉修さん(49)によると、生息地は「ほぼ壊滅的」だったという。しかし、その約1年後、小高区の住宅地近くでメダカが生き残っていることが確認された。

 周辺の住宅では、以前から掘り抜いた井戸を使っていたために、津波跡地にはがれきが散乱する中、わき水が噴出していた。その流れの中にメダカが生きていたという。家屋や塀が波の力を弱め、メダカがわき水で命をつないでいたのではないかと稲葉さんはみている。

 震災から5年6カ月がたち、「水辺の生物にも変化が表れてきている」と稲葉さん。津波跡地に大群落をつくった絶滅危惧種のミズアオイは現在、復旧工事や農薬などの影響で減少している。ブラックバスやウシガエル、アメリカザリガニなどの外来生物も多数、確認されるようになった。

 メダカは、2年ほど前から在来種のミナミメダカ以外に、ペットショップなどで売られている品種改良された種類が見つかるようになった。人によって放流されたものに間違いなく、在来種と交雑する恐れがあるという。

 稲葉さんは「南相馬らしい水辺環境は古里の財産。地域にとって大事な生き物とは何かを知ってもらう必要がある」とし、自然観察会などを通して地域の魅力を伝えていきたいと話している。

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