甲状腺検査どうあるべきか 西氏、子どものため10年は継続を

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 
 にし よしかず 島根県雲南市出身。広島大医学部卒。県民健康調査検討委員会甲状腺検査評価部会員。68歳。

 県民健康調査検討委員会の会合が14日に福島市で開かれる。会合では、甲状腺検査の今後の在り方を巡り議論が行われる見通しだ。東日本大震災、東京電力福島第1原発事故から5年半が過ぎ、今後の検査はどうあるべきか。香川県のがん検診センターで過去に1万人以上の大人の甲状腺を調べた経験を持つ武部晃司医師と、県民健康調査検討委で甲状腺検査評価部会員を務める西美和医師に聞いた。

 ◆西美和氏 広島赤十字・原爆病院小児科医(広島市)

 (原発事故から)5年が過ぎており、甲状腺検査について見直しのための議論は必要だ。もう一度原点に返って話し合うべきだと思う。だが、検査を続けるべきかどうかと聞かれれば、少なくともあと10年は続けるべきだ。

 がん検診には早期発見というメリットがあるものの(元々ある「潜在がん」を見つけてしまう)「過剰診断」の問題も必ずついて回る。韓国や米国では人間ドックとして甲状腺がん検診が行われ、がんがたくさん見つかって過剰診断が問題視されている。

 福島の甲状腺検査でも過剰診断の部分はあると思うが、実際に診ているわけではないので正確には分からない。

 気を付けなければならないのは、韓国や米国の検診の対象は40~60代であり、子どもではないということ。こうした検診の過剰診断の問題が、子どもを対象とした福島の甲状腺検査にそのまま当てはまるのか、ちょっと疑問がある。子どもの甲状腺を超音波で広く調べたというデータは世界中どこにも存在していない。

 福島とチェルノブイリ原発事故とは被ばく線量など状況が大きく違うので、福島の原発事故の被ばくが子どもの甲状腺に影響を与える可能性は非常に小さいと考えているが、現時点では100%影響はないとは誰も言えない。原発事故直後の内部被ばく線量がはっきりしていないことが原因だ。

 今でも被ばくの影響を心配している人はいる。子どもの病気を巡っては100%の保証を求めるのが親心だろう。将来「検査をやっておけば良かった」と非難の声が上がる可能性もある。きちんとした検査が今後も必要だ。

 甲状腺がんは予後(病状の見通し)が良いがんとされているが、「子どもは大人と違ってがんの進行が早い」と指摘する外国の論文も存在する。大人と違い余命も長い子どものケースは、慎重な対応が求められる。

 気になるのは、臨床現場で子どもの甲状腺を普段診療しているような医師たちの意見が、なかなか聞こえてこないことだ。福島の甲状腺検査をどう見ているのか。全国から医師たちを集めてオープンに議論すべきではないか。

 検査の見直しを巡っては、当事者である子どもや保護者の意見を聞くことも必要だと思う。プライバシーへの配慮は必要だが、甲状腺がんと診断されたり、手術を受けた当事者がどう感じているのか、生の声を拾い上げなければならない。

民友セレクション