社内都合優先...変わらぬ東電 福島第2原発・警報オフ問題

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 東京電力が福島第2原発(楢葉、富岡町)の侵入検知器の警報音が鳴らないよう設定していた問題は、福島第1原発事故から5年半がたった今も、安全より社内の都合を優先する東電の変わらぬ体質を浮かび上がらせた。問題の原因となった不要な警報を減らそうと、警備担当の社員が昨年夏に改善を求めたが、上司は「時間や手続きが必要」として問題を放置し、本社や所内で問題が共有されることはなかった。過去の不祥事などの反省、教訓を生かさない形骸化した東電の安全対策に、県や楢葉、富岡両町からは原子力事業者としての資格を問う声が強まっている。

 ◆◇◇未熟な組織風土

 「(2002年の)原子力不祥事以降、問題があれば広く共有して解決できるように努力してきたが、組織の体制や風土が完全ではなかった」。県庁を13日に訪れた原子(はらこ)昭洋第2原発副所長は額に大粒の汗をかきながら、樵(きこり)隆男県危機管理部長に原因分析や再発防止策などを説明した。

 東電は、原子力不祥事やデータ改ざん問題などを踏まえ、07年に問題を「言い出す仕組み」の構築を宣言。

 しかし今回、担当社員は不要な警報作動の原因となる伸びきった草木の手入れなど環境改善を「言い出した」が、その声は軽視された。結果として警報音を煩わしく思った警備部門で警報音を切る事態に至った。

 ◇◆◇防護の思考停止

 草木を刈るなどの環境整備に取り組まなかった背景には、震災後、冷温停止している第2原発の事情があるとみられる。東電は、事故を起こした福島第1原発の廃炉作業や損害賠償に巨額の資金を投じ、さらには「福島への責任を果たす」との名目で柏崎刈羽原発(新潟)の再稼働に力を入れる。

 一方、第2原発は震災後、原子炉建屋で保管が続く核燃料約1万体の冷温停止の維持や、第1原発の後方支援が主な業務となり震災前に比べて予算が縮小、環境整備に十分な手が行き届かなくなっているとの見方がある。ある東電社員は「環境整備がおろそかになっていったのは震災後。その中でモラルが低下していった」と語る。

 ◇◇◆比類なき安全?

 楢葉、富岡両町議会は、「東電社員が自ら安全を壊している」「東電に核物質を扱う資格があるのか」などと厳しく批判。核物質防護を盾に問題の詳細を伏せ、立地町の不満を聞くだけの「ガス抜き」とも受け取れる東電の対応に、両町議会からは社長や所長の説明責任を追及する声が相次いだ。

 世界最悪レベルとなった第1原発事故を受け、東電は「比類なき安全を創造し続ける」と安全改革に取り組む姿勢を強調するが、事故からわずか5年半で、地元住民からは企業利益のために問題を矮小(わいしょう)化、隠蔽(いんぺい)する「昔の東電が見え隠れする」との声が聞こえてくる。徹底して社内の体質を改革し、信頼回復を果たしたいのならば、再び地元の批判を真摯(しんし)に受け止めるところから出直すしかなさそうだ。

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