福島県の花春酒造、事業譲渡 新会社へ、銘柄と雇用は維持

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事業譲渡の方針を固めた花春酒造=21日、会津若松市神指町

 本県を代表する老舗酒蔵の花春酒造(会津若松市、宮森泰介社長)が、近く設立される新会社に酒造事業を譲渡することが21日、関係者への取材で分かった。受け入れ先は幸楽苑ホールディングス(郡山市)社長の新井田傳氏ら複数の共同出資者で設立され、新井田氏が新会社の社長に就く見通し。創業家の宮森家は経営から退くが、「花春」の銘柄と従業員の雇用は維持される。

 宮森社長は福島民友新聞社の取材に対し「花春の伝統を残すため、起死回生の一手を模索してきた。事業譲渡によって花春が全く新しい会社として再スタートを切る前向きな一歩になるはず」と話した。花春酒造によると、日本酒業界全体の落ち込みと消費低迷の影響から業績後退に歯止めがかからなかった上、同市神指町の新工場設立に伴う設備投資費の返済や、東京電力福島第1原発事故の風評被害による顧客減少などで経営が悪化、1億円超の負債を抱えた。改善に向けた経営努力をしてきたが現体制での自力再建を断念、事業譲渡を決めた。

 事業譲渡は29日に行われる。新会社は従業員20人余りを継続雇用し、花春の酒造りを続ける。事業譲渡については、花春酒造からいったん受け皿となる承継会社を経て事業が移される。負債は会津若松市内の不動産を処分するなどして返済する。

 花春酒造は1718(享保3)年創業。1953(昭和28)年に現社名の花春酒造となり、主要銘柄「花春」などで業績を伸ばした。創業約300年の歴史と高い酒造技術で、最盛期の昭和末期には県内屈指の売上高を誇った。

 しかし近年は急激に売り上げが落ち込み、2005(平成17)年に同市花春町などの工場2カ所を神指工場に集約、業務の合理化を図ってきた。

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