「やっとここまで来た」 菊地さん、サトイモ在来種「相馬土垂」復活

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 
収穫された相馬土垂。市販のサトイモより縦長の形が特徴

 相馬市塚部の畑で6日、相馬地方でかつて栽培され、途絶えかけていたサトイモの在来種「相馬土垂(どだれ)」が収穫された。復活の仕掛け人は原発事故後に帰郷し、就農した同市の菊地将兵さん(30)。「やっとここまで来た」。相馬土垂を前に、菊地さんは感慨深げだ。

 地元の関係者のほか、インターネットで情報を知った関東圏の有志など約30人が集まり、相馬土垂を掘った。有機栽培した自慢の野菜に付加価値を求め、地元ならではの農産物を探し歩いて5年。菊地さんは「諦めかけたけれど、やって良かった」と笑う。

 相馬土垂は昭和40~50年代に一部の農家で栽培された。現在のサトイモより強い粘り気が特徴。ラッキョウのような縦長の形で、皮のむきづらさから次第に需要が減っていったとみられる。

 菊地さんは風評にも負けない地元の特産を求め、帰郷直後から相馬ならではの野菜を探した。唯一の伝統野菜として相馬土垂の存在を知り、種芋を求めて関係者や知人、種苗店などを訪ね回った。ただ、地元の文献にもわずかな記述しか残っていない相馬土垂を見つけるのは困難を極めた。

 空振りが続く中、約1年前に新地町の農家で似た形のサトイモを発見。昔、知人の農家から譲り受け、それと知らずに栽培を続けてきたという。土垂の栽培歴がある南相馬市の農家に確認してもらい、お墨付きを得た。今年5月、仲間と土垂を植え初収穫を迎えた。

 芋煮会も開き、参加者が土垂を味わった。収穫に参加した食材付き季刊情報誌「そうま食べる通信」の共同編集長で漁師の菊地基文さん(40)は「関東からも参加があったのは期待の表れ。食べる通信でもしっかり取り上げ、多くの人に土垂を知ってほしい」と話した。

 将兵さんは相馬土垂を地元の旅館で扱ってもらうほか、生産グループをつくり、流通も視野に入れる。土産品として定着すれば地域経済の振興にもつながる。「忘れられた伝統野菜をもう一度、根付かせる」。展望は広がる一方だ。